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大林組、竣工前の建物のCO2排出量算定をAIで自動化へ

DIGITAL X 編集部
2025年5月9日

大林組は、建物のライフサイクルを通じてのCO2排出量をAI(人工知能)技術を使って自動算定する仕組みを、CO2排出量算定などを手掛けるゴーレムと共同で開発する。竣工前の建物のCO2排出量を予測し、建築主への訴求力・提案力を高めるのが目的だ。ゴーレムが2025年5月1日に発表した。

 大林組が開発するのは、建物がライフサイクル全般を通じて排出するCO2の量を、見積もりや設計、BIM(Building Information Model)などデータなどを基に竣工前に算出できるシステム(図1)。CO2排出量の算定にかかる時間を75%以上削減できると見込んでいる。将来的には、建築主に対し、CO2排出量削減に寄与する合理的かつ訴求力のあるプランを提案できるようにするのが目的だ。

図1:大林組が開発する建物のCO2排出量算定システムの概要

 建築のCO2排出量削減に向けては、材料の調達から施工・使用、解体・廃棄までの建物のライフサイクル全般を通じたCO2排出量の正確な算定が求められる。そのためには構成部材の1つひとつをCO2排出原単位に紐付ける必要があり、これまでに専門知識を持つ技術者が手作業で多くの時間をかけて作成してきた。

 新システムでは、専門技術者が担ってきたCO2排出量の算定作業をAI(人工知能)技術を使うことで、見積もり明細の仕分けや数量の算定などを自動化する。そのためのAIモデルの学習には、大林組が建物ライフサイクル評価で得てきたノウハウやデータを活用する。

 算出には、ゴーレムが開発するCO2排出量算定ソフトウェア「Gorlem CO2」を利用する。各種団体が推進する算定ツールに対応し、建築主のニーズに合わせた算定結果を提供できるとしている。

 今後は、竣工予定の建物を中心にCO2排出量を効率的に算定できるようにする。加えて、用途や構造、規模が異なる建物のCO2排出データを蓄積し、システムの利用や精度を高めたい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大林組
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題建物のCO2排出量算定にかかる時間を短縮しながら、建築主にCO2排出量削減に寄与する合理的かつ訴求力のある建築プランを提案したい
解決の仕組みAI技術を使ってCO2排出量を自動算定する
推進母体/体制大林組、ゴーレム
活用しているデータ建物の見積もり、購買、設計、BIM(Building Information Model)などのデータ
採用している製品/サービス/技術CO2排出量算定ソフトウェア「Gorlem CO2」(ゴーレム製)
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