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セブン-イレブン、次世代店舗システムを全2万1000店への導入を開始

ANDG CO., LTD.
2025年6月6日

セブン-イレブン・ジャパンは次世代店舗システムを開発し、2025年春から全国約2万1000店への導入を開始した。クラウド型を採用し、店舗で発生する各種データをリアルタイムに収集し、その分析によりサービス改善や業務負荷の軽減に取り組む。約40万人いる店舗の従業員にはアプリケーションを一元管理する汎用端末を配布する。開発を支援したNECが2025年5月22日に発表した。

 セブン-イレブン・ジャパンは、次世代店舗システムを開発し、全国約2万1000店への導入を2025年春より開始している。フルクラウド型のシステムとし、店頭で発生する業務ログや端末の利用状況、問い合わせ傾向といったデータまでをリアルタイムに収集し、その分析結果をサービスの改善や業務負荷の低減につなげる(図1)。NECによれば、国内のコンビニエンスストア業界におけるフルクラウド型の店舗システムは、これが初めて。

図1:セブン-イレブン・ジャパンが導入するクラウド型の店舗システムの概要

 将来的には、AI(人工知能)技術や機械学習などを組み合わせ、業務支援の自動化や店舗運営の最適化にも取り組む。セブン-イレブン・ジャパンは業務の標準化も進めたい考えだ。

 約40万人の店舗従業員に対しては、約30万台のモバイル端末やタブレット端末など汎用端末を配付する。端末上で業務アプリケーションなどを一元管理し、各種設定やアップデート、セキュリティ対策などを遠隔から実施する。従業員の端末へのログインにはIDやパスワードを使わず、顔認証によって利用権限を制御する。現場の管理負担を軽減すると同時にセキュリティを確保する。

 システム運用面でも効率を高めた。店舗からの問い合わせを受け付けるコンタクトセンターの窓口を一本化し、現場の混乱や二重対応を防ぐ。従来はシステムのベンダーごとに分かれていた。障害情報や問い合わせ対応を一元的に可視化するダッシュボードも導入した。

 次世代店舗システムは、「Google Cloud」(米Google製)を基盤に、必要な機能を独立して開発・運用するマイクロサービスアーキテクチャーにより構築した。将来の機能拡張や変更への柔軟性を確保するためだ。運用管理には「IT Service Management(ITSM)」(米ServiceNow製)を利用し、汎用端末はデバイス管理基盤「Workspace ONE」(米Omnissa製)を採用している。マルチベンダー運用の設計支援やシステム開発、顔認証技術の提供などをNECが支援した。

 NECによれば、コンビニエンスストアでは、店舗で取り扱うサービスが多様化し業務内容の煩雑さが増している。小売業全体でも、労働人口の減少や、人件費の上昇、従業員教育の負担が増している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名セブン-イレブン・ジャパン
業種流通・小売り
地域東京都千代田区(本社)
課題市場の変化に追随できるよう、店舗の運営効率を高めると同時に、店頭で発生する各種データの活用や、自動化技術の導入が可能な次世代店舗システムを構築したい
解決の仕組みフルクラウド型でマイクロサービスアーキテクチャーに基づく次世代システムを開発し、汎用端末を使った種々のアプリケーションを店頭での運用負荷を軽減しながら活用する
推進母体/体制セブン-イレブン・ジャパン、NEC
活用しているデータ業務ログ、端末利用状況、問い合わせ内容など
採用している製品/サービス/技術クラウド基盤「Google Cloud」(米Google製)、統合運用ダッシュボード「IT Service Management」(米ServiceNow製)、デバイス管理基盤「Workspace ONE」(米Omnissa製)、顔認証技術(NEC製)
稼働時期2025年春(全店舗への導入開始時期)