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大王製紙とPALTAC、トラック幹線輸送でのレベル2自動運転の実証を開始
大王製紙と消費財卸大手のPALTACが、トラックの長距離輸送にレベル2の自動運転車を使う実証実験を開始した。加減速と操舵を自動化しドライバーの運転負荷を軽減する。ドライバー不足に備え、持続可能な幹線輸送モデルを構築するのが目的だ。2025年7月30日に発表した。
大王製紙と消費財卸大手のPALTACが開始したのは、幹線輸送にレベル2の自動運転トラックを用いる実証実験(写真1)。ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)のレベル2の運転支援機能を利用し、特定条件下での加減速や車線維持などの運転操作を自動化する。トラックドライバー不足の深刻化に備え、持続可能な輸送モデルを構築するのが目的だ。
自動運転の実証と合わせて、物流効率を高めるための業務調整にも取り組む。具体的には、荷主である大王製紙側では、発注数量を輸送スケジュールに合わせて調整し、物流センターでの積載率を高める。物流事業者のPALTAC側では、トラックの運行時間に合わせて入庫時間を設定し、待機時間の削減と庫内作業の最適化につなげる。
自動運転の実証は、自動運転システムを開発するT2と共同で、関東と関西を結ぶ高速道路の一部区間で2025年7月3日から開始している。輸送ルートは(1)大王製紙・厚木物流センター(神奈川県厚木市)からPALTAC RDC堺(大阪府堺市)までと(2)大王製紙・西淀川物流センター(大阪市西淀川区)からPALTAC RDC関東(埼玉県白岡市)までの2ルートを対象にする(図1)。
実証では、貨物を実際に輸送し次の3点を検証する。(1)貨物を積載した幹線輸送における自動運転走行ルートおよびリードタイム、(2)想定したオペレーションパターンと、そのスケジュールの有効性、(3)輸送品質の確保状況である。
今回の実験は、特定条件下で全ての運転操作を自動化するレベル4の本格導入を見据えた前段階に位置付ける。実証結果を基に、実運用に向けた課題の洗い出しや改善点を抽出していく。
企業/組織名 | 大王製紙、PALTAC |
業種 | 物流 |
地域 | 神奈川県厚木市(大王製紙・厚木物流センター)、大阪市西淀川区(大王製紙・西淀川物流センター)、大阪府堺市(PALTAC RDC堺)、埼玉県白岡市(PALTAC RDC関東) |
課題 | 深刻化するトラックドライバー不足に対応し、ドライバーの運転負荷を軽減する自動運転トラックの利用を進めたい |
解決の仕組み | 幹線輸送にレベル2の自動運転トラックを導入しレベル4を見据えた運行を検証するとともに、輸送スケジュールに合わせて輸送量を調整したり入荷時間を調整したりして物流効率全体を高める |
推進母体/体制 | 大王製紙、PALTAC、T2 |
活用しているデータ | 物流センターへの入庫時間、輸送スケジュールに基づく発注数量など |
採用している製品/サービス/技術 | レベル2自動運転トラック(T2製) |
稼働時期 | 2025年7月3日(実証実験の開始日) |