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インフォマート、オンプレミスからOCIへの移行で運用コストの4割近い削減と性能・安定性の向上を実現

「SaaS on OCI Forum 2025」より、インフォマート 代表取締役社長 中島 健 氏

伊藤 秀樹
2025年9月2日

オラクルコンサルティングのサポートにより移行に伴う課題を解消

 これらの要件を全て満たすサービス運用基盤として、インフォマートが最終的に選択したのが「Oracle Cloud Infrastructure (OCI)」である。ただ数多くのサービスを提供するBtoBプラットフォームにあっては「全てのサービスを一度にOCIへと移行するのは高リスクであると判断し、段階的に移行することを決定した」(中島氏)

 移行作業を進めていく中で中島氏が高く評価したのがオラクルコンサルティングサービス(OCS:Oracle Consulting Service)の手厚いサポートだった(図1)。

図1:オラクルコンサル(OCS)の支援により、多数のサービスを抱えるBtoBプラットフォームの段階的移行を達成できた

 「OCIへの移行には多くの困難が伴うと予想しており、当初は無事移行できるのか不安だった。ところがOCSは、顧客目線に立った手厚い伴走支援を提供してくれたため、当社が抱えていた不安を解消してくれた。プロジェクトを通じてOCSが徹底した顧客志向であることが実感でき、膝を突き合わせて難題に取り組んでくれた」と中島氏は評価する。

 例えば、プロジェクト中に発生したOCIに関する技術的な不安や疑問については「OCSがオラクル社内のサポートチームも巻き込みつつ、明解な回答を導き出すなど、柔軟な対応を得られた」(中島氏)という。移行に際して必要になる情報の収集についても「積極的にヒアリングするなど、細かな部分にまで配慮した対応を常に提供してくれた」(中島氏)という。

 OCSのサポートにより技術的な課題をクリアしながら、全てのBtoBプラットフォームのサービスをOCIに移行できた。移行メリットの1つとして中島氏は「コストの大幅な削減」を挙げる。「OCIでは、アクセス数やデータベースの負荷状況に応じてCPUのスケーリングを実行でき、リソースの最適化が実現し、データセンターコストは前期比で38%の削減を見込んでいる」(同)としている(図2)。

図2:OCI移行後は、負荷に応じたCPUスケーリングによりデータセンターコストを38%削減できた

 パフォーマンスも向上した。利用者が体感するシステムの速度と安定性が高まり顧客企業からは「『オペレーションの反応が大幅に上がった』『以前より反応がずっと早くなった』などサービスの高速化を実感する声が多数寄せられている」(中島氏)という。パフォーマンスの向上にはOCIの「スマートスキャン機能」が大きく貢献している。大量データを処理する際に必要なデータだけを抽出し、ネットワークやCPUの負荷を大幅に削減する機能である。

「Oracle Autonomous Database」の自動化機能を使った信頼性向上に期待

 OCIへの移行により、コスト削減と、サービスのパフォーマンスや安定性の向上とを両立させたインフォマート。それにより「インフォマートの開発・運用チームの負荷も抑制されている」と中島氏は説明する。

 今後は「データベース運用の自動化による、さらなるコストの削減と信頼性の向上に取り組む」(中島氏)考えだ。「これらの要件を満たすシステムとして『Oracle Autonomous Database』には大きく期待している。Oracle Autonomous Databaseが提供する多くの自動化機能を利用することで、運用やチューニングにかかるコストを削減するとともに、サービスの信頼性をより高められれば顧客満足度も高まると考えている」(同)という。

 さらに生成AI(人工知能)技術の利用にも着手する。中島氏は「当社が保有する商流データの活用やクロスセルの推進、BtoBプラットフォームを有効活用するための最適なノウハウやナレッジの提供、サービスの標準化など、さまざまな業務に生成AIは利用できる」と展望を語る。

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