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ウイングアーク1st、サービス事業のためのクラウド環境をOCIに切り替え運用コストを半減以下に
「SaaS on OCI Forum 2025」より、ウイングアーク1st 取締役 執行役員 CTO 島澤 甲 氏
- 提供:
- 日本オラクル
オンプレミスからのクラウドシフトを中心に「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の利用が進む中、他のクラウドから乗り換えるケースも広がり始めている。その1社が、帳票・文書管理やデータ活用のためのクラウドサービスを手掛けるウイングアーク1stだ。同社 取締役 執行役員CTOの島澤 甲 氏が「SaaS on OCI Forum 2025(主催:日本オラクル、2025年7月17日)」に登壇し、OCIへの移行の経緯やOCIの評価、今後の展望について解説した。
「各種クラウドサービスを提供するための稼働基盤の一部を『Oracle Cloud Infrastructure(OCI)』に移行している。クラウド運用コストの大きな低減が見込めたほか、移行や状況把握が容易なシステム構成、OCIエンジニアの育成といった支援策の提案などを評価した。その成果はすでに目に見える形で表れている」――。ウイングアーク1stの取締役 執行役員 CTO 島澤 甲 氏は、同社がクラウド環境にOCIを選択した理由を、こう説明する(写真1)。
OCIへの移行でサービス提供用クラウドの運用コストが半額以下に
ウイングアーク1stは、帳票・文書管理とデータ活用の2分野で事業展開するサービスプロバイダーである。帳票基盤ツール「SVF」と電子帳票ツール「invoiceAgent(インボイスエージェント)」の累計導入社数は3万8000を、データ分析基盤「Dr.Sum(ドクターサム)」とBIツール「MotionBoard(モーションボード)」の累計導入社数は1万1000を、それぞれ超えているという。
同社がクラウドサービスの稼働基盤としてOCIへの移行を進めているのはDr.Sumの運用環境だ。Dr.Sumは、データの連携から分析・可視化までデータ活用に必要な機能を提供する。同製品を島澤氏は「特許取得済みの独自技術により、10億行規模のデータ集計を0.7秒で完了する処理能力の高さと定額料金制が特徴だ。生成AI(人工知能)技術との連携により自然文からSQLを生成でき、現場主導のデータ活用を支援できる。データウェアハウス(Data Warehouse)のクラウドサービスにデータを取り込むためのアドオンとしても利用でき、処理時間や運用コストの削減に貢献できる」と説明する。
OCIへの移行を検討した背景には「大量のデータを高速に扱うDr.Sumのサービス運用コストが高止まりしていた」(島澤氏)ことがある。サービスプロバイダーとしての事業を開始した約10年前から、事業拡大に合わせて基盤拡張を続けてきたものの「原価率は高い時で40%に達し、このままでは事業を維持できないとの危機感があった」(同)という。
そうした実状の打開に向け同社は数年前にOCI以外のクラウドも含めて移行による運用コストを試算した。結果、「最もコスト削減効果が高かったのがOCIだった。全サーバーを移行した場合の試算では、年間運用コストは従来のおよそ半額以下だった」と島澤氏は説明する(図1)。
島澤氏は「近い将来、BIツールのMotionBoardのサービス提供用クラウド環境もOCIへの移行を視野に入れている。MotionBoardは帯域を大いに使うが、試算によれば年間運用コストはおよそ半額程度にまで削減できる見込みだ」と話す。SaaS事業者におけるクラウド運用コストはIT投資全体の20~40%前後を占めるケースが多いとされており「およそ半額程度」というクラウド運用コストの低減効果は大きいといえる。