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中国銀行、顧客接点の強化に向けた分析とAI活用のための全社データ分析基盤を構築へ

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2025年11月5日

持続的な地域の発展に貢献するための営業DXを推進

 今回のデータ分析基盤の導入は、同行のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略である「ちゅうぎんDX戦略」の一環。2027年に向けた長期営計画「Vison2027 未来共創プラン」に対し、現在の中期経営計画で定めた「営業DXにより『地域の持続的な発展』に貢献する」という成長戦略の1つを支えるための中核施策になる。

 これまでも100人超の行員がデータ分析ツールを日常的に利用しデータ活用には取り組んできた。だが「データのサイロ化が解消されておらず、経営陣が求める判断材料をまとめるのにも時間が掛かっていた」(山縣氏)という。データ分析基盤の導入により今後は「行内のデータに横串を指すとともに、外部データを含めたデータ活用を加速し、意思決定の速度と質の向上を図る」(同)と期待する。

 データ分析基盤には「SAS Viya」(米SAS Institute製)を採用し、インテグレータのコムチュアが構築・運用を受け持つ。SAS Institute日本法人とコムチェアとは今回、「製品提供者、インテグレーターといった従来の枠を超えた協業にも取り組む」(山縣氏)としている(写真2)。

写真2:データ分析基盤のビジネス成果を引き出すために中国銀行はSAS Institute Japanとコムチェアと協業する。左からコムチェア 代表取締役社長執行役員 澤田 千尋 氏、中国銀行 取締役常務執行役員の山縣 正和 氏SAS Institute日本法人 代表取締役社長の手島 主税 氏

 具体的には、SASは「シナリオに合わせたデータの整備や、データ分析基盤を活用しビジネスに成果を出せる人材の育成や体制の整備」(SAS Institute日本法人 代表取締役社長の手島 主税 氏)などを、コムチェアは「データ活用の定着化や、利用状況に合わせた機能の見直しなど基盤の最適化を図るための提案」(コムチェア 代表取締役社長執行役員 澤田 千尋 氏)などを、それぞれ提供したいとする。

 なおデータ分析基盤は、金融取引におけるリスク分析など、営業力強化以外にも利用する。全行での利用については、2024年6月に設置したイノベーション推進部が策定・推進する計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名中国銀行
業種金融
地域岡山市(中国銀行本社)
課題中期経営計画で定めた「営業DXにより『地域の持続的な発展』に貢献する」という成長戦略の1つを実現するためには、デジタルチャネルと実店舗の双方での顧客接点を強化し、顧客ニーズに基づく提案ができるだけの営業力が必要になる
解決の仕組み行内の全データおよび外部データを加味して分析できるデータ分析基盤を導入するとともに、そこから精度の高い提案を導き出せる人材を育成する
推進母体/体制中国銀行、SAS Institute Japan、コムチェア
活用しているデータ種取り引きデータ、顧客関係データ、公式アプリ「ちゅうぎんアプリ」の利用状況やコンタクトセンターでのやり取りなど
採用している製品/サービス/技術データ分析基盤「SAS Viya」(米SAS Institute製)
稼働時期2027年1月予定