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中国銀行、顧客接点の強化に向けた分析とAI活用のための全社データ分析基盤を構築へ
中国銀行は、顧客接点の強化を目的としたデータ分析やAI(人工知能)技術の活用を加速するために全社共通のデータ分析基盤を構築する。まずは、店舗と自社アプリケーション、コンタクトセンターなどの営業チャネルのそれぞれでの顧客対応力の強化に利用する。2027年1月の稼働を計画する。そのためにデータ分析基盤を提供する米SAS Instituteの日本法人と、インテグレーターの コムチェアと協業する。2025年10月16日に発表した。
中国銀行が構築するのは、全社共通のデータ分析基盤。各種取り引きデータやCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システム、公式アプリケーション「ちゅうぎんアプリ」の利用状況やコンタクトセンターでのやり取りなどを統合管理し、種々の分析やAI(人工知能)技術の利用を加速するのが目的だ(図1)。
まずは営業活動における複数チャネルを組み合わせた顧客接点の強化に向けた取り組みでの利用を計画する。具体的には(1)顧客へ提供する情報の個別最適化、(2)VoC(Voice of Customer:顧客の声)に基づく商品/サービスの改善、(3)営業担当者の提案力強化を挙げる。
提供情報の個別最適化では、個人向けのちゅうぎんアプリや法人向けポータルサイト「ちゅうぎんビジネスポータル」において、顧客1人ひとりのニーズに応じた内容を配信できるようにし、よい的確で適時な情報提供によるCS(Customer Satisfaction:顧客満足度)の向上を図る。
ちゅうぎんアプリは、口座開設から資産形成、各種手続きまでを完結できるスマホアプリ。2021年7月に提供を開始し、ダウンロード件数は現時点では60万件を超えているという。一方のちゅうぎんビジネスポータルは法人向けサービスの中核施策で、将来的には取引の9割を同ポータル上で完結させるのが目標だ。マネーフォワードエックスが提供する地域金融機関向け法人サービス基盤「BANK Biz」をベースに開発中で、2026年秋の稼働を予定する。
商品/サービスの改善では、コンタクトセンターの応対記録や営業日報、アンケートなどのVoCを自然言語処理により分析し、顧客の課題や潜在的なニーズを抽出することで、商品/サービスを見直すための改善サイクルを構築するという。
提案力強化では、営業担当者が持つ知見とデータ分析を組み合わせることで、顧客企業の将来性の評価や、経営環境の変化を加味した踏まえた制度の高い提案により地元企業などの持続的な成長を支援したい考えだ。
営業施策を管轄する取締役常務執行役員の山縣 正和 氏は、今回の取り組みの狙いをこう説明する(写真1)。
「地域の持続的な発展に貢献するためには、法人顧客の経営支援、個人顧客のライフプランのサポートなどに向けた顧客接点の強化が不可欠だ。公式アプリやビジネスポータルによる無人チャネルの整備に加え、180店から130店にまで減らしてきた実店舗も必要があれば増やし、特に9時〜15時以外の時間帯での有人対応を強化したい。そのためにデータ分析基盤を活用し、優れた人材の知見の共有とデータ分析により営業担当者の提案力の底上げを図りたい」

