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イトーキ、オフィスの生産性高めるAIサービスの投入など“AI経営モデル”に転換へ

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2026年4月21日

イトーキは、オフィス投資のROI(Return on Investment:投資対効果)最大化などを支援するAI(人工知能)サービスを開発し、2026年内に順次提供を始める。働き方の多様化が進む中、家具メーカーから、働くための環境を支援する事業への転換を進める。そのためにAI技術活用を経営の中核に据え、自社の業務改革にも取り組む。2026年2月20日に発表した。

 「変化に適応できなければオフィスの生産性は低下していく。これまでの家具メーカーから、働き方とオフィスをハイサイクル(高回転)に変革する企業へと舵を切る」--。イトーキ 代表取締役社長の湊 宏司 氏は、AI(人工知能)サービス投入の狙いをこう語る(写真1)。

写真1:イトーキ 代表取締役社長の湊 宏司 氏(中央右)と常務執行役員 ソリューション事業開発本部長の八木 佳子 氏(中央左)。湊氏の右は、執行役員 DX本部長の竹内 尚志 氏とDX本部 DX統括部長の齊藤 頼芸 氏。八木氏の左は、執行役員 営業本部副本部長の森田 良一 氏と生産本部 生産DX統括部長の井和丸 宏 氏

 イトーキはオフィス環境の変化を(1)家具が主体の「Office 1.0」、(2)スペースが主体の「Office 2.0」、(3)データを用いてオフィスを継続的にアップデートする「Office 3.0」と定義し、現在はOffice 3.0の段階にあるとする。

 常務執行役員 ソリューション事業開発本部長の八木 佳子 氏は「生成AI技術の台頭による働き方の劇的な変容により、人手に依存した従来の意思決定ではROI(Return on Investment:投資対効果)の最大化が困難になっている。オフィスを作って終わりではなく、データを用いて企業の働き方を支えていく」と意気込む。

 Office 3.0では、オフィスの場所や利用者の属性・満足度といった指標に加え、場所の仕様や環境、従業員の成果、活動内容なども分析対象になる。結果、イトーキが扱うデータ量は「データ活用以前と比較して1.7万倍、分析の複雑さは最大2.7億倍にまで膨れ上がっている」(八木氏)という。

3種のAIエージェントを2026年内に提供

 そのイトーキが投入するAIサービスが「ITOKI OFFICE AI AGENTS」である。オフィス投資のROI最大化や、オフィスの生産性向上などを支援するAIエージェント群だ。2026年内に(1)「Facility Portfolio AI」、(2)「Workplace Insight AI」、(3)「Space Matching AI」の3つの提供を開始する。Facility Portfolio AIとWorkplace Insight AIは6月を、Space Matching AIは12月をそれぞれ予定する。

 Facility Portfolio AIは、経営戦略に基づくオフィスの再編を支援するAIエージェント(図1)。利用状況の把握、兆候検知、最適化シミュレーションの3つのAIエージェントが連携し、最適なオフィス面積やコスト構造を算出しオフィス拠点の集約や分散をシミュレートする。そのためにWi-Fiの接続ログや、会議室の予約状況などのデータを基に、最大100拠点規模のオフィスの利用実態を分析できるとする。

図1:Facility Portfolio AIは、3つのAIエージェントが連携し、オフィスの再編を支援する

 Workplace Insight AIは、オフィス投資の判断材料を総務部門などに提供するためのエージェント(図2)。情報の構造化、課題発見、伴走支援の3つのエージェントが連携し、図面や写真、アンケート結果、経営方針資料などの非構造化データを基に、類似事例との比較に基づく改善点や期待できる効果、ROIの試算などを提供する。

図2:Workplace Insight AIは、3つのAIエージェントが連携し、オフィス投資の判断材料を総務部門などに提供する

 Space Matching AIは、オフィスの稼働率をリアルタイムで最適化するエージェント(図3)。利用者の在席情報や行動傾向、利用履歴に基づき、予約されているが使われていない空きスペースを解放し、必要としている利用者とのマッチングを図る。前後の予定や会議参加者の状況、必要な備品などを踏まえて場所を選ぶという。利用者の在/不在をセンシングするAIデバイス「TABLE BOX」も独自に開発した。

図3:Space Matching AIは、3つのAIエージェントが連携し、オフィスの稼働率をリアルタイムで最適化する

 これらのAIエージェントは、新たに構築した「ITOKI AI Data基盤」上で動作する。同社 執行役員 DX本部長の竹内 尚志 氏は「年間3万枚のオフィスのレイアウトデータ、160社超のオフィス構築支援の実績をRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術を用いて学習させている」と話す。