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Umios、消費者起点の販売計画策定に向けたAIシステムを本格稼働
生産計画側では欠品防止と過剰在庫の抑制を両立する
予測精度を高めるために、浦本氏は「“真の需要”を見極めるための試行錯誤を重ねた」という。それも「過去の販売実績は『売れた全量』であり、本当の顧客需要を示しているとは限らない」(同)からだ。その一例には処分販売データがある。「在庫処分のために価格を下げて売った実績は本来の需要ではないため、パラメーターから取り除いた」(同)
一方、加えたパラメーターとしては月次の時系列がある。「1月から12月までの区切りを明示的に追加したことで、季節性を捉えられるようにしている」と浦本氏は説明する。検証段階では1年分だった販売実績データの範囲を「過去2年分に拡張したことで季節性の特徴が表れ、精度が出るようになった」(同)という。
ただし、精度の高さを無闇に追い求めるのではなく「どの程度の精度が出れば現場の業務が回るのかを重視した」(浦本氏)という。具体的には、事業部との合意の下、人手による予測との一致率目標を80%以上に設定した。その結果「定番商品における年累計総計ベースで、予測一致率は95%を達成した」(同)という。
営業担当者が最も恐れる事態は「得意先への供給が滞る欠品」であると大木氏は強調する。その欠品を回避したい心理から「担当者はどうしても実績に対して、少しばかり数値を乗せた計画を立ててしまう傾向があった」(同)。自動化では心理的バイアスによる上乗せを排除し、過剰在庫の抑制につなげる狙いがある。
そこで予測値は1つだけではなく、予測分布を出力している。例えば、季節性商品など、予測の誤差が大きくなりやすい商材には、上位側の安全な予測値を採用することで欠品防止を図る。逆に「予測のバラツキが小さく、売れ行きが安定している定番品には中央値寄りの予測値を採用し、過剰在庫を最小化する」と浦本氏は解説する。
さらに策定した販売計画は、工場の生産計画を作る上でも重要なインプットになる。大木氏は「事業生産計画を立てるには2〜3カ月先までの予測が必要で、予測のタイミングと実際の生産の間にバッファ(余裕期間)が課題だった」と解説する。BIツール上に算出した予測値、計画値、実績値を並べて可視化している。予測値との間に乖離が生じた場合、アラートを出すなどして原因の特定に努める。
予測精度を左右するデータの品質を追求する
プロジェクトを推進する中では、AIモデルの性能とは別の課題が浮き彫りになった。浦本氏は「(1)商品コード改廃、(2)入力バラバラ問題の2つ」を挙げる。
商品コード改廃は、商品の規格変更やリニューアルによりJAN(Japanese Article Number:日本共通商品コード)が新しく発行され、販売履歴がシステム上で分断される問題だ(図2)。人間が見れば同一商品と判断できても「システム上では別商品と認識するため、世代の変遷をAI技術が読み取れなくなる」と浦本氏は説明する。
幸い、業務用カテゴリーでは該当事例が少なかったものの、浦本氏は「将来的に他カテゴリーへと横展開していく上では、AI技術に予測させる前のマスターデータとデータ整備の品質が精度を左右すると再認識した」と振り返る。
入力バラバラ問題は、営業担当者が販売計画の根拠となる販売増減見込みを管理する状況が、支社や拠点ごとに異なっていた問題だ。「既存システムへ入力する拠点もあれば、独自のExcelで管理する拠点、さらには入力を停止している拠点まで存在した。全国同じやり方で動いてはいないと気付いた」(浦本氏)とする。
そこで、既存システムの操作性の低さを根本原因として突き止め、生成AIツールを活用して簡易な入力用Webアプリケーションをアジャイル(俊敏)で内製開発した。浦本氏は「完璧なデータがそろうのを待つのではなく、AI技術を使えるための土台を整えた」と説明する。
根拠の提示から具体的な打ち手までの自動提案へ
Umiosは販売計画システムは今後、3段階で機能を拡張していく計画だ。
ステップ1では、業務用の他品目や市販用冷凍食品など他カテゴリーへの横展開を進める。ステップ2では、予測数値を出力した根拠(季節要因や特売の影響など)まで提示できるように目指す。ステップ3では、予測根拠に基づいて「『生産ラインを追加稼働する』といった具体策までをAIエージェントが提示できる状態を目指す」(浦本氏)としている。
