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コスモ石油、製油所の設備点検への四足歩行ロボット利用を検証

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年7月31日

コスモ石油が、製油所の設備点検に四足歩行ロボットを活用するPoC(Proof of Concept:概念実証)を進めている。堺製油所(大阪府堺市)で2026年5月に実施した検証では、人による点検では見つけられなかった微量のエアー漏れを捉えるなど、初期異常の早期検知に有効との感触を得られたという。2026年7月9日に開いた記者説明会で検証結果と今後の方針などを説明した。

 「目的は人の置き換えではない。人とロボットが協調してトラブルを未然に防ぎ、安全操業と稼働率の向上、ひいては競争力の強化につなげたい」--。コスモ石油 工務部 保全戦略グループ長の吉井 清英 氏は、製油所の設備点検に四足歩行ロボットを利用する狙いをこう説明する(写真1)。

写真1:コスモ石油 工務部保全戦略グループ長の吉井 清英 氏

 コスモ石油は2026年5月24日から28日にかけて、堺製油所(大阪府堺市)の排水処理設備を四足歩行ロボットで点検するPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施した。設備メンテナンスなどを手掛ける東北エンタープライズと共に、ロボットの自律走行や設備データの取得などを実地検証した。

予防保全に向けたデータ基盤にAI/ロボットを追加

 PoCの検証の背景には設備の高経年化がある。製油所には「稼働から50年以上経過した設備も多く、故障を未然に防ぎ、信頼性と安全性を確保する必要がある」(吉井氏)。そのためコスモ石油は、設備の稼働状態をデータで把握し異常の予兆を捉える予兆保全に向けた取り組みを強化している。

 具体的には、2024年5月から、堺市、三重県四日市、千葉市にある3つの製油所にデータ統合基盤を導入し、図面や設備の検査記録、運転データ、保全計画などの一元管理を始めている。各製油所のデジタルツインを構築し遠隔地から管理する体制も整えた。

 その上で目指すのが「AI駆動型保全」である。設備保全にAI(人工知能)技術やロボットなどを活用する。今回のPoCは、その具体化に向けた取り組みの一環だ。

 PoCに使用した四足歩行ロボットは、米Boston Dynamics製の「SPOT」だ(写真2)。大きさは、高さ1.1メートル、幅0.5メートル、長さ約1.91メートル、重量約32.7キログラムである。産業分野での実績や製油所内での走破性に加え、専用の管理ソフトウェア「Orbit」の汎用性や機能の網羅性、既存のデータ統合基盤との連携しやすさを評価して選定したという。

写真2:超音波でポンプの状態を点検する米Boston Dynamics製四足歩行ロボット「SPOT」

 SPOTには、球体カメラと光学カメラ、サーマルカメラ、集音マイクを一体化した「Spot CAM2」と、超音波カメラ「Sorama L642」、点群撮影カメラ「LEICA BLK ARC」、自律走行用センサー「EAP 2」、ポータブルガスモニターを搭載した。それぞれ、光学画像による計器の読み取りや、サーマル画像や音響データによる機器の状態確認、超音波によるガスや蒸気の漏れの検知、点群データの取得などを目的にする。