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帝人グループ、全社AI活用に向けIT組織の一体化からシステムとデータの統合に着手
「AI資本経営フォーラム2026 in Autumn」より、グループ執行役員 CDOの舩生 幸宏 氏
統合の第一歩はIT組織の一体化
帝人グループがまず着手したのは、事業や地域ごとに分かれたIT組織の連携強化だ。グローバルで一体的に取り組む体制づくりから始めた理由を、舩生氏は「チームを一つにしないと、システムを統合できないからだ」と説明する。
現在は、インフラ、セキュリティ、コミュニケーションツール、データ基盤、AI基盤など、事業をまたいで利用する仕組みの統合を進めている。ただし「すべての業務システムを一律にまとめるわけではない」と舩生氏は付け加える。事業ごとにサプライチェーンが異なるため「ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源管理)は事業単位で整理する構想」(同)にしている。
データについては、各事業が「Excel」や「PowerPoint」でまとめた情報を、本社で集計しレポートを作成してきた従来の方法を見直す。「AI活用を広げるための前提として、データを統合し、ダッシュボードで情報を確認する基盤の開発を進めている」と舩生氏は説明する。
一方で、共通基盤の整理では運用面の課題も抱える。例えば、グループで利用する業務アプリケーション群「Microsoft 365」(米Microsoft製)は「会社ごとに利用環境が分かれ、テナントが100以上ある」(舩生氏)という。
これに対しては地域ごとの事情を踏まえながら集約を進めている。また、拠点ごとに異なるセキュリティ対策についても「監視やログの扱いを含めて標準化に取り組む」(舩生氏)構えだ。
社内情報検索、問い合わせ対応、外観検査などでAI活用
共通基盤の整備と並行して、帝人グループは個別業務へのAI適用も進めている。その事例の一つには、社内文書や規則を探すためのAI検索がある。社員ポータルに組み込み、必要な情報を探せるようにしている。問い合わせ業務では、文書やルールを基に回答するチャットボットを活用する。
工場では、製品の傷や不具合を確認する外観検査に画像解析を採り入れ、人手による作業の一部で自動化を進めている。外観検査は「複数の工場で取り組み、成果を確認したうえで本格展開を検討する」(舩生氏)という。
工場の人手不足に対応するために、ロボティクスにも取り組む。「人が定期的に担ってきた設備の巡回監視への適用を探る」(舩生氏)もので、ロボットが決められた経路を移動しながら計器を撮影する用途を想定する。ただし「現時点で事業上の効果を示せる段階には至っていない」(同)ともする。
人材育成も「DX全般に関する教育から、業務へのAI適用に重点を移した」と舩生氏は強調する。「3年間で一般業務でAI技術を使う『AIユーザー』を約5000人、AI技術の仕組みの構築など高度な役割を担う『AIインテグレーター』を約600人、それぞれ育成する計画」(同)だという。
講演の最後に舩生氏は「AI技術を活用して、3年間で生産性を20%向上高めるのが目標だ」と今後の展望に力を込める。
| 企業/組織名 | 帝人グループ |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 東京都千代田区(本社) |
| 課題 | 事業・地域ごとに業務プロセスとシステムが異なり、データが分散。全社状況の把握が人手の集計に依存し、AI活用が全社の生産性向上につながりにくい |
| 解決の仕組み | IT組織をグローバルで一体化し、インフラやデータ基盤、AI基盤など事業横断の仕組みを統合。並行して個別業務へAI技術の適用を進める |
| 推進母体/体制 | 帝人グループ |
| 活用しているデータ | 各事業の業務データ、社内文書・規則、製品の外観画像、設備計器の画像など |
| 採用している製品/サービス/技術 | 業務アプリケーション群「Microsoft 365」(米Microsoft製)、AI技術など |
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