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なぜブロックチェーンが、これほど騒がれているのか?【第1回】

唐澤 光彦(NTTテクノクロス エンタープライズ事業部マネージャー)
2018年8月2日

昨今、インターネット上はもとより、テレビや新聞のビジネスニュースなどにおいても、「ブロックチェーン」というキーワードを良く見かけるようになった。ほぼ毎日、ブックチェーンを使った何かしらのサービスに関する記事が掲載されている。しかし、なぜブロックチェーンは、これほどまでに騒がれているのだろうか。

 67兆円−−。これは、経済産業省が2016年に発表したブロックチェーンの関連市場規模である(図1、『ブロックチェーン技術を活用したサービスに関する国内外動向調査報告書(概要)』)。ブロックチェーン技術の展開が有望な事例と市場規模から試算されている。その規模は、2015年の医療福祉業界(68.4兆円)に匹敵する。

図1:ブロックチェーンの市場規模は67兆円

通信インフラとしてのブロックチェーンには5つの特徴がある

 ブロックチェーン=仮想通貨のイメージが強いかもしれないが、ブロックチェーン自体は、通信ネットワーク基盤(インフラストラクチャー) である(図2)。ブロックチェーンでは、アプリケーションプログラムが格納した取引情報を通信相手に確実に渡してくれる。また通信履歴がネットワーク基盤上に残されるため通信内容が検証される。仮想通貨におけるブロックチェーンは、たとえば二重送金などが起こることを回避するための仕組みを提供している。

図2:通信ネットワーク基盤としてのブロックチェーン

 海外では、電子政府先進国として有名なエストニア共和国が、行政主導でブロックチェーンの利用を始めている。電子居住者カードの「e-resident」など様々なサービスが電子化されており、その中にブロックチェーンが組み込まれている。

 ブロックチェーンそのものもバージョンアップが繰り返され、新たなブロックチェーンの仕組みも誕生している。たとえば国内では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が 2018年5月21日、新型のブロックチェーンをアカマイ・テクノロジーズ合同会社と共同開発したと発表している。

 ここで、通信ネットワーク基盤としてのブロックチェーンが持つ5つの特徴を整理しておこう(図3)。

図3:ブロックチェーンが持つ5つの特徴