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戸田建設、エネルギー課題などを取り込んだデジタルなまちづくりをCEATEC 2020で提案

デジタルが持つ可視化の力を活かし住民も気付かぬ課題やニーズを先取り

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2020年10月14日

−−2020年のCEATECはオンライン開催です。リアルな展示とは違った苦労がありそうです。

 正直、オンライン開催と聞いたときは戸惑ったというのが本音です。ただ出展内容を詰めていく過程で、改めてデジタルが持つ可能性が実感できるようになり、今は楽しんで取り組んでいます。

 たとえば、現地まで足を運ばなくても、目の前にあるPCで私たちの提案を簡単に確認してもらえ、コンテンツの作り方次第では、リアルでは逆に難しい、より多くの方への、きめ細かな説明が可能になります。

 そうした気づきが得られてからは、展示内容の幅と、それぞれの内容の深さの両面で、現時点での最適かつ分かりやすいであろう情報発信を追求してきました。

 画面上でも、個々のテーマについては上部にあるタブで容易に切り替えられますし、それぞれの画面は横方向にスクロールするだけで種々のコンテンツを参照できるようにしています。縦方向のスクロールを不要にすることで、テキストや画像、映像などのメディア特性を踏まえた紹介になるよう工夫しています。

−−SECCを打ち立てるなかで戸田建設自身の建築や都市との関わり方も大きく変わりそうです。

 それは確実です。デジタル技術だけを見ても、建物などの3D(3次元)データを使ってライフサイクルを管理するBIM(Building Information Modeling)データの活用により、建物の可視化が進み、データの一元管理によるFM(ファシリティマネジメント)の効率を高める動きが急ピッチで進んでいます。

デジタルにより建設会社が“創り出す”対象は広がる

 たとえば、当社は「病院の戸田」と呼ばれるほど、病院の建設に強みを持っています。医師や看護師が働きやすく、患者に優しい施設としての病院を建ててきたわけです。

 それが今後は、BIMデータなどを含めたデータ活用によって、診療機器や消耗品などの調達・整備など、病院で過ごす人々が本来の役割だけを果たせるように、生活環境を整えるサービスまでも提供できる可能性があります。必然的に当社ビジネスの中身は広がっていくのです。

 長年のビル建設による空間の提案や都市開発、さらには現在進行形で蓄積しているBIMの活用経験やノウハウを生かし、都市の魅力をさらに引き出す役割を担えればと努力を続けているところです。デジタルに向けた人材の意識改革なども今後の課題になります。

 ともあれCEATEC 2020 ONLINEにおいて、当社のSECCを軸とした提案をぜひ一度、見ていただきたい。そして、その実現に協力していただける企業などと出会い、喜びのある未来の都市づくりを共に推し進めたいと考えています。

 また今回の展示は、当社ビジョンの一端にすぎません。私たちが描きたい全体像を実現するために必要な人材のリクルーティング効果にも、欲張りは承知のうえですが、大いに期待しています。

写真2:CEATEC 2020 ONLINEに向けて、これからの都市像を描いてきた主要メンバーのみなさん。左から順に、永井 裕之 建築設計統轄部スマートソリューション設計部スマートソリューション設計室室長、二瓶 透 開発営業推進室開発設計部開発計画課主任、御厨 雅文 建築本部特定プロジェクト室技術部開発課課長代理、堀内 信男 建築設計統轄部スマートソリューション設計部長、岡田 幸宏 建築設計統轄部BM設計部BIM推進室室長、松本 智子 建築設計統轄部スマートソリューション設計部スマートソリューション設計室主管、栁 直登 建築設計統轄部建築設計1部開発プロジェクト設計室室員