• Column
  • データ活用力をDataOpsで高める

データ活用を企業に定着させるシナリオ【第5回】

瀧本 秀典(日鉄ソリューションズ DX推進&ソリューション企画・コンサルティングセンター データ活用グループリーダー)
2021年2月5日

第4回までに、DataOpsのポイントは「データを届ける側の部門(Data)とデータを活用する側の部門(Ops)の協働だ」と説明してきた。最終回となる今回は、データ活用を企業に定着させるまでのシナリオをステージに分けて解説する。

 DataOpsの成否は、データを届ける側の部門(Data)とデータを活用する側の部門(Ops)の協働がカギを握る。具体的には、「データを活用し業務を改善する」「データ活用で得られた価値や知見をフィードバックしてデータを改善する」というサイクルを、関係部門と担当者の全員が協働しながら高速かつ高品質に回していくことが重要である(図1)。

図1:DataOpsのポイントは、データを届ける側の部門(Data)とデータを活用する側の部門(Ops)が協働し、改善サイクルを回すことにある

 このとき、データ活用を定着させるシナリオは、企業のデータ活用ステージ(成熟度)によって異なる。成熟度を測る統一された指標は存在しないものの、本稿では次の4つのステージに分けて整理してみる。(1)取り組みなし、(2)価値の確認、(3)組織的な強化、(4)拡大・成長サイクルの構築である(表1)。

表1:企業におけるデータ活用のステージ(成熟度)

 データ活用そのものを高度化するためには、部門をまたぐ協働を、ステージに応じて効果的・効率的に実施し、必要な要素技術やITの仕組みを徐々にレベルアップさせる必要がある。こうしたステージを高める活動を通じて、対応可能な組織の規模が拡大し、データ活用に対する企業文化や企業風土を醸成していくはずだ(図2)。

図2:各ステージにおけるデータ活用の高度化と組織規模のイメージ

 現時点で各企業における実際の取り組みは、「データ分析の試行」によるビジネス価値確認や、「分析力の強化」を目的とした単発プロジェクトなどが中心であろう。これはステージ2~3に相当すると考えられる。

 今後、ステージ4のデータ活用の持続的な拡大や高度化を目指すには、データやデータを活用するシステムの変化に対応しつつ、継続的に改善・発展できるように、ライフサイクルの仕組みを整備し全体プロセスとして推進することが重要になってくる。

 データ活用力を高めようとする企業は、どのようなステップを踏んでデータ活用のステージを上げていけばよいのだろうか。各ステージにおける取り組みのポイントを順に紹介していく。