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安心・安全な街づくりに向けた“サイバー空間”のセキュリティ【第27回】
スマートシティのセキュリティについて前回は、実際の街で生活する住民の安心・安全を守る「リアル空間」のセキュリティについて解説した。今回は、最先端のデジタル技術を活用し都市や地域の機能やサービスの効率化・高度化を図るスマートシティにあって、そのためのデジタルインフラやサービスそのものを守る「サイバー空間」のセキュリティについて解説する。
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーやカメラが多数設置され、多種多様なデータを扱うスマートシティは、デジタル技術に強く依存している。それだけに、サイバー攻撃のリスクに常に晒されており、堅牢なセキュリティ対策が不可欠だ。
サイバー攻撃者は、セキュリティ対策が脆弱な部分を突いてサービス不能や情報搾取を狙った攻撃を仕かけてくる。ひとたび攻撃が成功すると、重要な情報インフラやサービスが停止し、大きな混乱が引き起こされる怖れがある。不正アクセスによって機密情報や個人情報が搾取されれば、住民のプライバシーが侵害されたり悪用されたりする危険性も考えられる。
特に近年、注意を要するのがランサムウェア攻撃による被害である。ネットワークに侵入し、システムをサービス不能もしくはデータを暗号化することで“身代金”を要求するランサムウェアは今も猛威を振るっている。スマートシティ領域と関係性が深い、建設や公共サービス、エネルギー、不動産、ヘルスケア、教育といった業種業界もランサムウェア攻撃の標的になっている(図1)。
サイバー攻撃の被害を回避するためには、システムやデータが集中する情報インフラやネットワーク、エッジデバイス、サービスを守る堅牢なセキュリティ対策が欠かせない。サイバー空間のセキュリティを担保することは、スマートシティの住民が安心・安全にサービスを利用し、快適に暮らすうえで必要不可欠な施策である。
とはいえ、スマートシティにセキュリティの仕組みを実装することは、そう簡単な話ではない。なぜならスマートシティの情報基盤をはじめ、各種サービスやアプリケーションの提供には地方公共団体や民間事業者など、さまざまなステークホルダーが関係しているからだ。そこで総務省は2020年10月、『スマートシティ セキュリティガイドライン』の第1.0版を提示。2021年6月には『第2.0版』に改訂した。