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エッジコンピューティングのためのプラットフォームを構築する【条件3】

Chris To(NVIDIA ソリューションアーキテクチャー & エンジニアリング マネジャー)
2022年4月21日

 プラットフォームを選択する際には、フルスタックにわたってセキュリティのための機能が提供されることが重要である。一般に、プラットフォームが提供するセキュリティ機能において、それが高度すぎるということはない。

 プラットフォームの評価においては、転送時および保存時のデータの暗号化に細心の注意を払う必要がある。両方を暗号化することで、セキュリティ機能が大幅に強化され、データの安全性を確保できる。AIランタイムが改ざんされないように保護できるソリューションもある。

 計算インフラに加えて管理プラットフォームを検討・調査している場合は、アプリケーションを展開する前に、それが安全であることを確かめられる機能の有無を確認したい。具体的には、マルウェアと脆弱性のスキャン、より高度なプラットフォームに向けた署名付きコンテナなどだ。

メリット5:弾力性

 エッジコンピューティングでは、関連するシステムやデバイスが様々な場所に分散して存在するため、システム障害やソフトウェアクラッシュの発生時に落とし穴が潜んでいる。障害発生時には、システムの再起動やソフトウェアのアップデートのために、熟練したITの専門家が、それぞれの場所にまで出向かなければならないことがあることだ。

 その回避には、弾力性のあるソフトウェアとリモート管理プラットフォームを組み合わせることが重要になる。弾力性のあるソフトウェアとは、人の手を借りずに自ら問題を修復できるソフトウェアのことである。

 さらには、アプリケーションの自己修復に加え、故障したシステムのワークロードを同じネットワーク上の他のシステムに移行でき、アプリケーションのダウンタイムをゼロにし、インサイトを失うことがないようにする必要がある。

エッジにAIを展開する方法

 上述したメリットや、必要な機能のすべて提供するエッジコンピューティングのためのプラットフォームを独自に構築するには、複雑で時間がかかるかもしれない。そのため、どんな組織でもエッジコンピューティング環境を構築できるように、各種のソリューションが提供されている。一例として米NVIDIAが提供するソリューションを紹介する。

 NVIDIAのエッジコンピューティングのためのソリューションは、(1)「NVIDIA EGX プラットフォーム」と(2)「NVIDIA Fleet Command」からなっている。

 EGX プラットフォームは、多様なアプリケーションを実行するための高性能かつ費用対効果の高いインフラである。管理・導入・運用・監視の機能を単一の統合アーキテクチャーに沿って提供する(図2)。NVIDIAが認定する高性能なGPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)コンピューティングと、高速で安全なネットワーキングからなり、NVIDIAのパートナー企業が構築し、販売する。

図2:NVIDIA EGX プラットフォームの概念

 一方のFleet Command は、数十台から数百万台のサーバーやエッジデバイスにまたがるAIシステムの導入を管理・拡張するためのハイブリッドクラウドプラットフォームである。単一のコントロールプレーンから、アプリケーションの追加や削除、無線でのシステムソフトウェアの更新、遠隔地に点在するデバイスの稼働状態の監視が可能だ(図3)。管理者は、導入計画の立案と実行に数週間を費やすことなく、数分で小売店や倉庫、病院、街中などにAIシステムを導入できる。

図3:NVIDIA Fleet CommandによるAIシステムの管理・拡張のイメージ

 Fleet Command は米国では提供されているが、国内での提供時期は2022年4月時点では未定である。ただし、無料トライアルには申し込めるので、興味のある方は詳細を確認していただきたい。

Chris To(クリス・トウ)

エヌビディア ソリューションアーキテクチャー & エンジニアリング マネジャー。半導体業界で20年間、チップ設計からフィールドアプリケーションのサポートまでの職務を経験。2019年NVIDIA入社。現在は小売り、ロボット、製造、ファクトリーオートメーションの各業界における様々な組み込みアプリケーションのGPUコンピューティングをサポートするソリューションアーキテクチャチームをリード。米スタンフォード大学で電気工学の理学士号および理学修士号を取得。