• Column
  • 生成AIで高めるCX(顧客体験)

東急、宿泊サービスの顧客提案用チャットボットをChatGPT使い1カ月で開発

「DIGITAL X DAY 2023 Winter」より、東急の川元 一峰 氏

阿部 欽一
2024年2月16日

東急は社内ベンチャー制度で立ち上げた定額制宿泊サービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」においてChatGPTを使ったAI(人工知能)チャットボット機能を約1カ月で立ち上げた。ホスピタリティ事業部 主査でTsugiTsugiの代表を務める川元 一峰 氏が、「DIGITAL X DAY 2023 Winter 生成AIで高めるCX(顧客体験)」(主催:DIGITAL X、2023年12月15日)に登壇し、ChatGPT実装の経緯や課題の解決方法などを紹介した。

 「東急の定額制宿泊サービス『TsugiTsugi(ツギツギ)』において、旅先や宿泊先選びに迷う顧客に対し最適な旅先を提案するために開発したチャットボット機能では会話しているだけでも楽しいUI(ユーザーインタフェース)の実現を目指した」−−。同社ホスピタリティ事業部 主査で、TsugiTsugiの代表を務める川元 一峰 氏は、こう話す(写真1)。

写真1:東急のホスピタリティ事業部 主査で社内ベンチャー事業「TsugiTsugi」の代表を務める川元 一峰 氏

サービスの選択肢が増える中で顧客の離脱ポイントを生成AIで解消

 TsugiTsugiは、川元氏が東急の社内ベンチャー制度を利用して立ち上げたサブスクリプション型の宿泊サービス事業。顧客は、東急グループおよび提携先が運営する全国のホテルや宿泊施設などを定額制で利用できる。2023年末時点では、利用可能な施設は132あり約4万人が会員登録する。競合するホテル検索サービスなどと比べ「ホテルや施設を比較しやすく、クレジットカード情報などの個人情報を毎回入力する必要がないなど、手軽に利用できる点が評価されている」と川元氏は紹介する。

 そのTsugiTsugiにおいて、旅先や宿泊先選びに迷う顧客に最適な旅先を提案するために開発したのが「旅先こんしぇるじゅ」機能だ。生成AI(人工知能)技術によるチャットボットサービス「ChatGPT」を使い開発した。「相談相手として性格が異なる4種のキャラクターを用意し、浮世絵風のイラストを現代風にアレンジし、親しみやすく利用しやすいサービスにした」(川元氏)という(図1)。

図1:「旅先こんしぇるじゅ」の画面例(左)と4種類あるチャットボットのキャラクター

 旅先こんしぇるじゅを開発した理由を川元氏は、こう説明する。

 「TsugiTsugiにおける顧客の離脱ポイントで最も多いのが予約と手配の段階だ。旅先は決まっていても時期によって料金が変わったり、同じホテルでもさまざまなプランがあったりし、数多くの宿泊施設からベストな選択をするのが難しいからだ。提携先が増えると選べる選択肢も増える。離脱を防ぐためには、予約から宿泊までのサービスをシームレスに設計し、その間に顧客が発する問いかけに的確に答えられる必要がある」

 そこで着目したのがChatGPTだった。「顧客起点でAI技術を使って最適な旅先を提案する機能を開発できれば離脱ポイントの解消につながる」(川元氏)と考えた。加えて「生成AIを活用し対話を通じて顧客に最適な旅行先・宿泊先を提案する仕組みは、報道発表時には話題性の高さが見込まれた」とマーケティング面での狙いもあった。