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HOW TOの1:D2C事業における新規顧客への認知・集客施策をどう展開するか【第8回】

堀田 顕人(電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ)
2024年9月9日

デジタル広告以外の認知、集客手法

 広告プラットフォームの効果をいかしながらも、広告プラットフォーム側の変更などによるリスクを分散させるためには、多様な集客方法の活用が重要になります。以下では、リスク分散のための集客方法を紹介します。

コンテンツマーケティング

 ブログ記事を通じて、ターゲットオーディエンスが関心を持つ情報を提供します。SEO(検索エンジン最適化)を意識した記事を作成することで、検索エンジン経由での新規顧客獲得につながります。

 「YouTube」や「Vimeo」などの動画プラットフォームでは、製品紹介やチュートリアル動画を作成します。動画は視覚的に訴求力があり、シェアされやすいコンテンツです。ブランドに関連するテーマでポッドキャストを制作し、専門的な知識やインタビューを提供すれば、リスナーを新規顧客に転換できます。

SEO(検索エンジン最適化)

 Webサイトのコンテンツや構造を最適化し、検索エンジンでのランキングを高めます。そのためには、キーワード調査、メタタグの最適化、内部リンクの強化などを実施します。他のWebサイトからのバックリンクを獲得し、Webサイトの権威性を高めます。ブログや業界関連サイトとの提携を通じて、質の高いリンクを構築します。

インフルエンサーマーケティング

 ターゲットオーディエンスに影響力を持つインフルエンサーと提携し、製品を紹介してもらいます。インフルエンサーのフォロワーに対し、ブランドを効果的に認知させられます。フォロワー数が少なくてもエンゲージメントが高いマイクロインフルエンサーを活用すれば信頼性の高いリーチを実現できます。

パブリシティとPR

 新製品の発売や重要な企業ニュースをプレスリリースとして発表し、メディアに取り上げてもらいます。幅広いオーディエンスにブランドを認知してもらえます。

ソーシャルメディア活動

 「Facebook」「Instagram」「X(旧Twitter)」などのソーシャルメディアプラットフォームで定期的にオーガニック投稿を行い、フォロワーとのエンゲージメントを高めます。特定のハッシュタグを使ったキャンペーンを実施し、ユーザーが投稿をシェアすることで自然な拡散を促進します。

イベントとポップアップストア

 ブランドに関連するイベントやワークショップを開催し、顧客と直接交流する機会を作ることで、ブランドのファンを増やせます。オンラインだけでは伝えきれないブランドの魅力を伝えられます。

コラボレーションとパートナーシップ

 関連する他ブランドとコラボレーションし、共同でキャンペーンを実施することで、互いの顧客ベースにリーチします。例えば、共同製品の開発や合同イベントの開催などです。

多様な集客方法の活用戦略が長期的な成功の鍵に

 上述したように、D2C事業において新規顧客の認知と集客を図るためには、デジタル広告の活用が非常に効果的です。ですが、それに過度に依存することのリスクも考慮する必要があります。広告以外の手法も併用することで、より持続可能で多様な顧客基盤の構築が可能になります。

 多様な集客方法を組み合わせ、顧客との信頼関係を強化し、ブランドの認知度とロイヤルティを高める戦略を立てることが、長期的な成功につながる鍵になります。

 次回は、5W3Hのうちの「HOW TOの2」として、D2C事業を推進するうえでの既存顧客・会員向けコミュニケーションについて説明します。

堀田 顕人(ほった・あきと)

電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ。マーケティングやコミュニケーション領域を対象にしたプロジェクトマネジメント専門会社で不動産やスポーツマーケティングなど幅広い業界の大規模プロジェクトを経験。雑貨・文具プロダクトの事業会社ではブランドマネジメントから広報やEC運営、SNSなど集客からCRMまでのコミュニケーション全般における戦略立案・施策実施業務に従事。現在はD2C事業の立ち上げ・事業計画策定からサイト構築、グロース支援などを幅広く担当している。