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HOW TOの2:D2C事業における既存顧客・会員とのコミュニケーションをどう取るか【第9回】

堀田 顕人(電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ)
2024年10月7日

前回は、D2C事業における新規顧客向けの認知や集客施策について紹介しました。今回はD2C事業における「HOW TOの2」として、既存顧客・会員とのコミュニケーションの取り方について解説します。

 D2C(Direct-to-Consumer)事業において、顧客との関係を強化し、ビジネスの成功を実現するためには、さまざまな手法とツールを駆使することが重要です。以下では、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)施策における誤解の是正、カスタマーサポートの重要性、そして顧客ロイヤルティの向上について詳しく説明します。

CRM施策=メールマーケティングではない

 CRMは、単にメールマーケティングとして理解されることがよくあります。従来のCRM施策が、顧客情報のデータ管理や自動化されたメール送信を中心に設計されていたことに起因しています。

 近年、CRMの定義は広がり、顧客との関係を強化するために多岐にわたる手法やツールが活用されるようになっています。メールだけではなく、例えばLINEによるコミュニケーションのように、より顧客に見てもらいやすいツールの利用が広がっています。

 CRMは、を単なるコミュニケーションツールではなく、顧客データを基にした戦略的な意思決定のツールとして捉えることが重要です。顧客の行動データやフィードバックを分析し、顧客個別のニーズや課題に対応するためにCRMシステムを最大限に活用します。

 CRMの目的は、顧客のニーズや期待を理解し、それに応じてパーソナライズしたサービスや体験を提供することです。顧客が何を求めているのかを深く理解するために、定量的なデータだけではなく、定期的な顧客インタビューやフィードバックの収集により、それを基にした戦略を策定します。

 そこでは、CRMシステムやツールの進化を利用し、顧客との関係を強化する新しい方法を探求します。今後はAI(人工知能)技術や機械学習を活用し、より洞察力のある顧客セグメンテーションやリアルタイムの個別対応の実現が可能になってきます。

カスタマーサポートは宝の山

 カスタマーサポートは、顧客と直接接触できる場所であり、顧客からの問い合わせや質問・疑問、ときにクレームに対応する重要な拠点です。顧客が問題を抱えたときに迅速かつ専門的に対応することで、顧客満足度を高められます。良好なサポート対応は、顧客との信頼関係を築くうえで不可欠です。

 カスタマーサポートを通じて受けた顧客のフィードバックや要望は、貴重な情報源です。顧客の声を集め、それを分析することで、製品やサービスの改善点を特定し、顧客満足度を高める施策を打てます。顧客の嗜好や優先事項を理解し、パーソナライズされたサービスを提供するための基盤になります。

 さらにカスタマーサポートは、顧客に関する貴重なデータを集約する場でもあります。顧客の履歴や接触履歴、対応内容などのデータを収集・管理し、それを活用して顧客のニーズや行動パターンを理解できます。このデータは、顧客管理やCRM戦略の立案に役立ちます。