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HOW TOの1:D2C事業における新規顧客への認知・集客施策をどう展開するか【第8回】

堀田 顕人(電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ)
2024年9月9日

前回は、D2C事業において重要な定量データと定性データをどのように統合して分析する「HOW MUCH」について紹介しました。今回はD2C事業における「HOW TOの1」として、新規顧客への認知や集客の方法について解説します。

 D2C(Direct-to-Consumer)事業において、顧客に製品やブランドを認知してもらい、集客するための戦略は多岐にわたります。特に事業の初期段階では、デジタル広告が強力な手段として活用されますが、長期的な成功を目指すためには広告以外の多様な方法を併用することが重要です。以下では、デジタル広告の効果と限界、そして広告以外の認知・集客手法について説明します。

デジタル広告の効果と限界

 デジタル広告を通じては、特定のターゲットオーディエンスへのピンポイントでのアプローチが可能です。デジタル広告プラットフォーム(Google、Facebook、Instagramなど)では、年齢、性別、興味・関心、購買行動などの詳細なデモグラフィック情報を基にターゲティングができ、最適な顧客層にリーチできます。

 従来のテレビやラジオ、印刷媒体に比べコストが低く、ROI(投資対効果)が高いという特徴があります。少ない予算でも広範囲にリーチできるため、特に資金が限られている初期のD2C事業には非常に有効です。

 広告キャンペーンを実施することで、顧客からの反応やフィードバックを迅速に収集できます。この情報は、製品/サービスの改善、マーケティング戦略の調整に役立ちます。初期の段階で得られるインサイトは、事業の方向性を決定するための重要な参考になります。

 ただし、デジタル広告市場での競争は激化しており、広告費用は年々増加しています。特に、人気のあるキーワードやターゲット市場ではクリック単価(CPC)が高騰し、ROIが低下する可能性があります。デジタル広告に過度に依存することで予算が圧迫されるリスクがあります。

 顧客の側では、日常的に多くの広告に晒されているため、広告疲れ(Ad Fatigue)が生じ、広告に対する反応が鈍くなる可能性があります。顧客が広告をスキップしたり無視したりすることが増えると、広告の効果が低下します。

 さらに広告プラットフォームのアルゴリズムが頻繁に変更されます。これにより広告のパフォーマンスが予測不可能になり、依存しすぎるとビジネスに大きな影響を与える可能性があります。