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  • 現場から経営へ、企業の持続的成長を支えるSCMの今

今後のサプライチェーンには経営指標と現場のKPIの紐付けが不可欠に

伴走型コンサルティングでKPIツリーをデジタル化し現場のDXを推進

DIGITAL X 編集部
2024年10月9日

持続的な経営の支援に向けて非財務価値の可視化も必要に

 では、冒頭に宮原氏が挙げた、“稼ぐ力”を示す指標ROICに対し、KPIツリーのデジタル化・可視化機能は、どのように作用するのだろうか。

 ROICについては近年、同指標を販売や生産の現場のKPIに分解した「ROICツリー」を作成し、それに基づいて各現場の業務を管理する「ROIC経営」の手法が注目を集めている。ROIC経営に乗り出し、自社の価値を高めようとする日本企業も増え始めた。

 NTTデータのKPIツリーのデジタル化・可視化の考え方は、ある意味、ROIC経営の考え方に則ったものであり、同機能を活用することはROIC経営の推進につながる。

 ただし、ROIC経営にしても、現状のSCMにしても、「基本的には企業の財務上の健全性や価値を高めるものです。そこには『地球環境保護への貢献』といった“非財務的な価値”は反映されていません」と宮原氏は指摘する。

 「今日の投資家は、事業の継続性という企業価値を、財務的な価値と非財務的な価値の両面から総合的に判断しています。それだけに企業は、収益性を重視したレジリエンス領域(バリューチェーン領域)の概念と、サステナビリティ領域(カーボンニュートラル領域)のESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)経営の概念の双方を取り入れながら、事業・製品ポートフォリオの最適化を図っていく必要があります(図2)。コア業務にESG活動が徐々に密結合しつつある半面、管理・経営の面では結節点がまだ薄いとも言えます。それを課題として捉え、経営管理とバリューチェーンとサステナビリティをつなげていくことが当社のミッションだと考えています」(宮原氏)

図2:持続的な経営に必要なレジリエンス領域とサスティナビリティ領域における施策の例

 そこでNTTデータでは、非財務的な価値を定量化・可視化し、それを上位のKPIと紐づけたうえで、予実を見ながら事業・製品のポートフォリオの最適化を支援していく構想を練っている。「事業・製品の収益性とCO2排出量とのバランスを適切に保ち、レジリエンスとサステナビリティを両立させていくことは、今日の企業にとって極めて重要な経営課題です。その解決に向けたデータの整備とシステムの開発・提供に今後も力を注いでいきます」と大居氏は話す。

 そのうえで大居氏は、「KPIツリーのデジタル化・可視化を通じた現場業務の改善においても、レジリエンスとサステナビリティの両立に関しても、NTTデータは、単にそのための仕組みを提供するだけではなく、その過程で浮かんでくる課題の1つひとつに対峙し、実質的な効果の創出までをしっかりとサポートしながら、企業の経営革新に貢献していきたい」と力を込める。

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