- Column
- データ活用を最優先するITモダナイゼーションの新常識
メインフレームシステムのビジネス価値を高めるにはデータアクセスと運用コストの削減が不可欠
- 提供:
- ソフトウェア・エー・ジー
レガシーデータへのSQLアクセスによりサイロ化の問題を解消
その考え方に基づきソフトウェア・エー・ジーが提供するのがデータ連携用の「CONNX」と、メインフレームコストの削減用の「Jopaz」である。
CONNXは、メインフレームをはじめレガシーシステムのデータソースに対しSQL言語によるリアルタイムなアクセスを実現するデータ連携プラットフォームだ(図1)。同社製データベース「Adabas」だけでなく、米IBMの「Db2」や「VSAM」など150種以上のデータソースを対象に、必要なデータを仮想的にアクセスしたり、ソースが異なる複数データをリアルタイムに可視化したり、クラウド環境を含むデータストア間での移動やコピーを可能にする。小原氏は「レガシーシステムのデータベースに手を加えたり、システムを止めたりすることなく、レガシーを含むデータの有効活用が図れるようになります」と説明する。
こうしたデータ連携を可能にするツールやサービスは少なくないものの、レガシーシステムとのデータ連携を可能にするものは限られる。そうした中でCONNXの特徴について千葉氏は「当社は1970年代にAdabasをメインフレーム用データベースとして最初にリリースして以来、レガシーシステムのデータを適切に扱うための知見やノウハウを蓄積してきました。その知識がCONNXには応用されています」と強調する。
汎用プロセサのCOBOLワークロードを下げ運用コストを削減
一方のJopazは、IBM製メインフレーム「Zシリーズ」でCOBOLのバッチアプリケーションを実行する際に、ソフトウェアの処理能力「MSU」の使用量を削減することで、月額ライセンス料金(MLC:Monthly License Cost)を大幅に削減するソリューションである(図2)。
ZシリーズのMLCは「GP(General Processor)」の稼働率に応じて決まる従量制になっている。COBOLアプリケーションをGP上で稼働させればさせるほどMLCは高くなる。CONNXなどを使ってメインフレームが持つデータを最大限利用するにしても、その保守・運用コストが高止まりしていては、その負担が阻害要因になり“脱メインフレーム”の議論に引き戻されかねない。
そこでJopazでは、対象となるワークロードをGPからIBMの専用プロセサ「zIIP(z Integrated Information Processor)」上で実行可能にすることで、MSUの使用量を削減する。具体的には、COBOLのバッチアプリケーションのソースコードをJavaバイトコードへコンパイルし、zIIP上にあるJavaの仮想動作環境であるJVM(Java Virtual Machine)上で実行させる。その効果を小原氏は「COBOLによるバッチ処理のGPワークロードを劇的に減らせ、その削減率は最大90%に上ります」と説明する。
「COBOLアプリケーションをJavaで書き換えるための手間やリスクが伴わないというメリットもあります。Jopazが生成したJavaバイトコードは、AdabasやDb2、VSAMなど既存データソースに対し、機能的な互換性と透過的なアクセスが確保されます」(千葉氏)という。
安全・安心にモダナイゼーションの目的を果たす
CONNXとJopazの導入事例はグローバルに広がっている。例えば米国の産業用オートメーション製品と電子部品のディストリビューターが、70の支店が使うオンライン見積もりシステムと、レガシーシステムに蓄積されている20年分のデータをCONNXで連携し、見積もりプロセスの効率を高め収益機会を増加させている。
ラテンアメリカの大手通信会社は、Jopazを使用してCOBOLのバッチアプリケーションをモダナイズしたうえでJavaにコンパイルしzIIP上で実行している。GPプロセサの容量を解放し新しいワークロードに迅速に対応することで、メインフレームのアップグレードを回避しながら各種規制要件への対応速度を高めている。
こうした実績を踏まえ小原氏は、Zシリーズを使う日本の企業にCONNXやJopazの採用をこう訴えかける。
「企業システムはビジネスを支える仕組みであり、そのモダナイゼーションで最も重視すべきは“脱レガシー”の実現ではなく、システムのビジネス的な価値を高めることです。脱レガシーに掛かる手間とリスクを避けられるCONNXとJopazの導入効果を、レガシーシステムやIBMメインフレームを使う多くの日本企業に享受していただきたいと願っています」


