• Column
  • データ分析/生成AI活用を成功に導くためのデータ連携入門

SaaS導入で“つながらない”を防ぐにはデータ連携の構造を意識する【第5回】

高坂 亮多(セゾンテクノロジー CTO)
2025年11月12日

データの「出口」を確認しSaaS間の自動連携に注意する

 もう1つ、導入時に見落とされがちなのがデータの取り出し方です。「レポートは見られるけれどデータを外に出せない」「CSV出力はあるが項目が足りない」といった制約は少なくありません。

 データの取り出し方で導入前に確認しておくべきポイントは次の通りです。

●どんなデータをAPI(Application Programming Interface)やCSVで取得できるか
●出力可能な項目と形式
●自動出力やスケジュール連携の可否

 これらを曖昧にしたまま導入すると、後から「データが出せずに連携できない」という問題が起きます。

 また、SaaS同士が「自動連携できます」とうたっている場合も要注意です。思わぬ経路でデータが同期され、どこが正なのかが分からなくなることがあります。便利な自動連携ほど、どの情報がどこを通って動くのかを把握しておくことが重要です(図2)。

図2:SaaS間の自動連携はSasSスプロールの原因になりやすい

 まとめると業務部門としては、SaaS導入時には次の4点を整理しておけば、後々のトラブルを防げます。

(1)SaaSの役割 :全体の中で何を担うのか。主なのか補助なのか
(2)データの出入り :どの情報を受け取り、どの情報を渡すのか
(3)マスターの整合 :共通の仕組みから配るのを基本に、SaaS側で更新された場合の戻し方を決める
(4)データの出口 :どんな方法で情報を取り出せるか

 冒頭で指摘したように、SaaSスプロールの原因はシステム数が多いことではなく「どこが中心で、どこが支えるのか」という構造が曖昧なままにSaaSの土入数が増えていくことにあります。SaaSを追加導入するたびに、どの位置づけで導入するのか、どの情報を扱うのか、どの方向にデータを流すのかを整理し、全体の整合性を保てるように設計しておく。これがSaaSスプロールを防ぎ“つながるSaaS導入”を実現する第一歩です。

 次回も、実際のユースケースを元に「どんなときに、どんな連携の工夫が必要になるのか?」を掘り下げていきます。

高坂 亮多(こうさか・りょうた)

セゾンテクノロジー CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)。2007年新卒入社、2025年より現職。流通業向け業務アプリケーションの開発を皮切りに、クラウド移行やモバイルアプリケーション、コグニティブ技術を活用したアプリケーションなど先端技術領域の開発をリードしてきた。近年はデータエンジニアとして分析基盤の構築やAI活用プロジェクトを推進している。