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- データ分析/生成AI活用を成功に導くためのデータ連携入門
データ連携・活用に向けたPoCで“沼”にハマる理由【第8回】

データ活用やAI(人工知能)技術の活用の文脈で、PoC(Proof of Concept:概念実証)に取り組む企業が増えています。一方で「業務部門は手応えがあると言っているが、IT部門は首をかしげている」「PoCで何が確認できたのか分からない」といった状態、すなわちデータ連携/データ活用に向けた“PoCの沼”にはまり込んでしまうケースも少なくありません。なぜ、そうした状況に陥ってしまうのでしょうか。
データ活用に限らず「まずは試してみよう」「小さく始めてみよう」という姿勢は、とても健全です。データ活用/AI(人工知能)技術活用に向けたPoC (Proof of Concept:概念実証)に取り組む企業が増えているのも不思議ではありません。
PoCにおける「問い」は同じでも見ている「意味」が違う
PoCを始めるとき一般には、業務部門もIT部門も同じ問いを持っています。「やりたいことは実現できそうか?」です。ただ、この問いに対して、業務部門とIT部門では違う意味で答えようとしていることがあります。実はPoCに対し業務部門とIT部門では、無意識のうちに異なる観点から状況を見ています。
業務部門の関心
・やりたいことは実現できそうか?
・この結果は、意思決定に使えそうか?
IT部門の関心
・このやり方は仕組みとして成り立つか?
・継続的に回せる形になりそうか?
すなわち、業務部門は“ What(何ができるか)”を見ているのに対し、IT部門は“ How(どう実現するか)”を見ているのです。いずれも「できそうか?」という同じ問いに答えようとしているものの、何をもって「できた」とするかが異なるのです(図1)。
こうした違い自体は決して悪いことではありません。むしろ、どちらも必要な視点です。問題は、PoCの目的や評価が、成功の定義やゴールのイメージが共有されないままに進んでしまうことです。
業務部門もIT部門も、「正しいデータを使って、正しい意思決定をしたい」という最終的に目指しているゴールは共通です。しかし「正しいデータ」とは何かを突き詰めていくと、その定義は1つではありません。
例えばデータ品質モデルの国際標準である「ISO/IEC 25012:2008」は、データの品質特性を15種類に分類しています。つまりデータの正しさは“1つの軸”では測れないということです。
データについて「どの品質を見るか」の違いが、PoCでは業務部門とIT部門の受け止め方の差として現れやすくなるのです。
