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データを可視化してビジネスに活かす「BIツール」【第7回】

若尾 和広(primeNumber データイノベーション推進室 室長)
2026年4月22日

前回は、複数システムに散在するデータを収集・蓄積するための仕組みとして、ETL(Extract:抽出、Transform:変換、Load:保存)とDWH(Data Warehouse)を解説しました。データ環境が整備できたら、次はビジネスの意思決定に活かす番です。今回は、データを可視化・分析するためのBI(Business Intelligence)ツールについて解説します。

 前回解説したETL(Extract:抽出、Transform:変換、Load:保存)とDWH(Data Warehouse)によって、企業内に散在していたデータを集め蓄積できました。データ環境が整えば、いよいよ、そのデータを読み解き、意思決定に役立てられるようになります。

 データの分析・可視化では「Excel」などの表計算ソフトウェアを利用されている方も多いことでしょう。しかし業務データが増加するにつれ表計算ソフトウェアだけでは対応が難しい場面が増えてきます。そうした際に利用されるのが「BIツール」です。

 BIツールのBIは「Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)」の略です。そしてBIツールは、DWHなどに蓄積されたデータを集計・分析し、グラフやダッシュボードとして可視化するためのソフトウェアです。

BIツール活用の肝は「何を見るか」

 データ分析は一般に(1)元データの用意、(2)分析用の加工・成形、(3)分析・可視化という手順で進みます。表計算ソフトウェアは(1)〜(3)を広く・浅くカバーする汎用ツールですが、BIツールは(3)分析・可視化に特化したツールです(図1)。

図1:データ分析の一般的な手順と、表計算ソフトウェアとBIツールのカバー範囲の違い

 BIツールの活用シーンには大きく(1)定点観測と(2)アドホック分析の2つがあります。

定点観測 :売上高や顧客数などの主要指標を定期的にモニタリングするダッシュボードとしての使い方です。健康診断で体温や血圧を定期的に計測するように、ビジネスの状態を定期的に把握するのが目的です
アドホック分析 :その時々で知りたい内容を都度集計し、施策の検討や効果の検証などのための使い方です

 いずれの用途で導入するにしても、検討時には、ツール選定の前に考えなければならない重要なことがあります。それは「どの数字を見るか」、すなわちKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)やKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設計です。

 KGIの設計ではビジネスの最終成果になる数字を、KPIではKGIへつながる数字を選ばなければなりません。例えば「売上金額」は「受注件数 × 平均単価」に分解でき、「受注件数」はさらに「見込み商談数 × 受注率」に分解できます(図2)。この場合「売上金額」がKGIに、「見込み商談数」や「受注率」がKPIになり得ます。

図2:売上金額をKGI(重要目標達成指標)にした際の、KPI(重要業績評価指標)の考え方

 KPIには、改善のためのアクションを取れる数値を選定する必要もあります。例えば「見込み商談数」や「受注率」が変化した際には、商談数を増やす施策を打つ、受注率を高められるよう提案を見直すといったアクションが可能です。

 一方、見込み商談数が営業人数に比例したとしても、外的環境から営業人数を増やすことが難しい状況であれば、「営業人数」をKPIに選んでも改善のアクションは取れません。KPIを設計する際には「この数字が変化したとき、何をすべきか」というアクションを想定したうえで指標を選ぶことが重要です。