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- 「知る」から「使う」へ、生成AI活用の最前線
アイレット、KDDIの属人化問題を生成AIアシスタントの精度を高め解消へ
「生成AI Day 2025」より、アイレット DX開発事業部 IoT×Cloudセクション セクションリーダーの川村 彰 氏
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生産年齢人口が減少するなかで日本企業における生産性向上が急務になっている。だが、そこには各種業務における知見やノウハウの属人化という“壁”が立ちはだかる。それは大手キャリアのKDDIも同様だった。アイレット DX開発事業部 IoT×Cloudセクション セクションリーダーの川村 彰 氏が「生成AI Day 2025(主催:インプレス、2025年9月18日)」に登壇し、属人化問題を克服するためにKDDIと取り組んだ生成AI(人工知能)技術を使った社内向けチャットシステムの開発プロジェクトについて解説した。
「日本企業は今、生産年齢人口の急減に伴う事業継続の危機に直面しており、生産性の抜本的な向上が不可欠だ。しかし、各種業務の知見やノウハウの属人化が、その足かせになっている。生成AI(人工知能)技術は、この状況の脱却に向けた“切り札”にほかならない」——。アイレット DX開発事業部 IoT×Cloudセクション セクションリーダーの川村 彰 氏は、生成AI技術について、こう主張する(写真1)。
2003年に創業したアイレットは「技術と探求心で今日の『できない』を、明日の『できる』に」をパーパスに、クラウド移行からインフラの構築・運用・保守、アプリケーション開発、UI(User Interface)/UX(User Experience)デザインまでを一貫して支援している。これまでに2500社、4300超のプロジェクトに携わってきた。2017年にKDDIグループに加わった。
「KDDIでも、属人化が生産性の向上を妨げていた」と川村氏は語る。「ベテラン社員のノウハウは属人化し、最終決裁者の着眼点や判断基準にまで十分に浸透しておらず、少なからぬ手戻りや承認プロセスの長期化が生じていた」(同)という。
KDDIの購買部門の属人化問題を解く「生成AIアシスタント」を開発
そこでアイレットはKDDIの購買部門を対象に、生成AI技術を使った社内ノウハウの共有・活用をうながす仕組みの構築に取り組むことになった。単なる情報の収集・検索にとどまらず「変化し続ける環境下で利用者の問いに最適な回答を提示できる仕組みの実現を目指した」(川村氏)という。そこでの目標は次の3点である。
目標1 :対話形式により、質問の意図や背景を理解したうえで適切な回答を提供する
目標2 :大量データをリアルタイムに分析・抽出したデータに基づき効率的に回答する
目標3 :新たな情報や事例を学習し回答の改善に活かす
現時点でKDDIが利用している回答用の「生成AIアシスタント」の構成は図1のようになっている。生成AI技術には「Gemini」(米Google製)を採用し、社内文書やベテラン社員の知見を学習。そのうえで外部連携するクラウドストレージから新たな学習データを取り込み、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術を使って生成AIアシスタントが文脈に沿って回答を生成する。
「稼働以降、利用者の思考を促し課題解決に導けるように、一方的な回答で終わらせず、生成AIアシスタントの側から質問を投げかけ深掘りする仕組みの実装を進めてきた。今では実務利用に足る品質の情報を提供できるほどに洗練されている」と川村氏は話す。

