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データ流通に向けて「インフォームドコンセント」の概念があらゆる業界に広がっていく

データマネジメントツール手がける米Informaticaのアニル・チャクラヴァーシー CEO

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2019年6月24日
写真1:弊誌との単独インタビューに応じる米InformaticaのCEOであるアニル・チャクラヴァーシー氏

「情報銀行」など個人情報を含めたデータ流通への注目が集まっている。ダボス会議で2019年1月、安倍 晋三 首相が「DFFT(Data Free Flow with Trust:自由なデータ流通)」を提案。2019年6月のG20における共同声明にもDFFTが盛り込まれる。データ流通のこれからについて、データマネジメント関連ツールベンダー大手、米InformaticaのCEOであるアニル・チャクラヴァーシー氏に聞いた。(聞き手は志度 昌宏 = DIGITAL X 編集長)

――安倍首相の「DFFT(Data Free Flow with Trust:自由なデータ流通)」提案もあり、2019年6月のG20大阪サミットでは、国をまたぐデータ流通の重要性が議論され共同声明にも盛り込まれる。こうした動きをどう見ているか。

 欧州の「GDPR(一般データ保護規則)」に象徴されるように、データ活用における国際的な標準が生まれるための大きな転換期だと言える。データ活用のデジタルトランスフォーメーション(DX)だと言っても良い。

 GAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple)へのデータ集中が議論されているように、これまでは“オプトアウト”を前提に企業はもとより政府なども個人のデータを収集してきた。オプトアウトでは原則、データの活用は自由で、活用を望まない個人が、利用中止を申し出る必要がある。

 これがGDPR以後、“オプトイン”が標準になってきた。GDPRはEU(欧州連合)の標準だが、今では国際標準の1つと言えるほどに、その影響範囲は広がっている。

 ただオプトインだからといって、データを集めた企業は、どんな用途にも利用できるわけではない。マーケティング活動に利用するのか、製品/サービスの研究開発に利用するのかなどで、個人が利用を認めるかどうかの判断は変わってくるからだ。

インフォームドコンセントの概念が広がっていく

 今後、データを収集・活用する、あるいは流通させる企業は、企業に利用が許可されているのではなく、特定の用途にのみ利用が認められているのだということを認識し実行しなければならない。

 そこでは、医療分野で定着している「インフォームドコンセント(説明・納得・同意)」の考え方が参考になる。データをどんな用途に利用するのかをしっかりと説明し、個人が、それを十分に理解・納得したうえでデータ活用に合意するのだ。今後は、インフォームドコンセントの概念が、産業のあらゆる領域に広がっていくだろう。

――インフォームドコンセントの概念に沿ったデータ利用環境は、どのように構築すれば良いのか。

 大きく3つのステップを踏むことになる。最初のステップは、ポリシーの決定だ。GDPRは欧州のポリシーだし、DFFTは日本発のポリシーになるかもしれない。米国では、カリフォルニア州が顔認証の使用を禁止するなど州政府単位のポリシーなどもある。これらを踏まえたうえで、企業は自社のポリシーを定義し公表する必要がある。

 次のステップは、ストラクチャー(構造)の定義、すなわち、どのデータに対し誰が責任を持つのかを決める。CPO(chief Policy Office:最高ポリシー責任者)あるいはCDO(Chief Data Office:最高データ責任者)が率先することになるだろう。

 そして第3のステップが、データの所在を完全に把握できる仕組みを用意することだ。利用や流通の対象になるデータがどこにあるのか、それらはどんな用途になら利用可能になっているのかなどを正しく把握できていなければならない。