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AIはデータマネジメントを求め、データマネジメントはAIを求める

Informatica World 2019

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2019年6月7日

データマネジメント関連製品ベンダーの米インフォマティカの年次イベント「Informatica World」。2019年は米ラスベガスで5月20日~23日(米国時間)に開かれた。製品ポートフォリオ自体に大きな変化はないものの、メガクラウドベンダーとの連携強化など、グローバル企業のデータ活用への取り組みがAI(人工知能)ありきに大きく舵を切っていることを強く印象づけた。Informatica World 2019の基調講演や個別インタビューなどから、その理由をお伝えする。

 2019年の米インフォマティカの年次イベント「Informatica World」は、ラスベガス・フィルハーモニー管弦楽団によるクラシック音楽で幕を開けた(写真1)。一般に米ITベンダーの年次イベントのオープニングは大音響のロック音楽が多用される。これは彼らの日本でのイベントで流れる各種紹介ビデオでも同様なことは、読者も体験されていることだろう。ではインフォマティカは、なぜクラシックなのか。

写真1:「Informatica World 2019」はラスベガス・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で幕を開けた

2014年に刷新した製品ポートフォリオが奏功

 マーケティング的なメッセージは「Find harmony in the most discordant of data(バラバラなデータの中からハーモニーを醸し出せ)」である。つまり、量的にも質的にも増え続けるデータを適切に管理・分析することで、経営に資する価値を見出せということだ。インフォマティカが提供するデータマネジメント関連ツールが“指揮者”ということかもしれない。

 この「なぜクラシックか」を同社CEOであるアニル・チャクラヴァーシー氏に直接尋ねたところ、彼の答は「リラックスできるから。穏やかな気持ちでインフォマティカのメッセージを受け取ってほしい」だった。この発言の背景には、同社が4年前に製品ポートフォリオを一新すると同時に、クラウドサービスに大きく舵をきったことが上手く軌道に乗っているという自信がある。

 実際、Informatica World 2019の基調講演に登壇したチャクラヴァーシー氏が最初に触れたのは、2014年に一新した同社の製品ポートフォリオである「Intelligent Data Platform(IDP)」であり、クラウドシフトである。この変革のために同社は非公開企業になることを選び、マーケットが求める短期的な成長から逃れての製品開発・クラウド化を進めてきた。

 そして2019年の今、インフォマティカは「ハイブリッドクラウドカンパニーになった」とチャクラヴァーシー氏は強調する(写真2)。その一例として、同社クラウドサービスにおけるトランザクション数が月間8兆件にまで伸びていることを挙げる。前年は「月間2兆5000億件」としているから3倍以上に増えたことになる。

写真2:この4年間の取り組みが奏功していることを強調するインフォマティカCEOのアニル・チャクラヴァーシー氏

 そのインフォマティカが次なる強化分野にするのがAI(人工知能)/ML(機械学習)である。昨今のAI分野における技術の進展や利用企業の側での期待の高まりからすれば、当然といえば当然だ。チャクラヴァーシー氏自身、「AIは90年代の研究段階から今は成熟期にある。金融、小売り・消費財、ライフサイエンスなどへの実適用が広がっている」とする。

 インフォマティカにとってのAIには2つの側面がある。それをチャクラヴァーシー氏は「AIはデータマネジメントを求め、データマネジメントはAIを求める」と表現した。