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会議のムダは会議室の中だけで起こっているのではない

時間の価値を最大化するコラボレーションをAIで支援〔PR〕

2019年7月19日

 利用者視点では、Cognitive Collaborationがあまりに自然なため、その存在に気付かないかもしれないが、あえて詳細に解説するとこうだ。

 たとえば、会議に参加するメンバーが会議室に入ると、カメラが入室を理解する。個人を認識すると同時に、その人のカレンダーを確認し、誰と会議するために訪れたのかを把握し、予定時間になるとビデオ会議システムを自動的に立ち上げて、各地から参加するメンバーとのネットワークを接続し、すぐに会議が始められるように環境を整える。

 会議中も誰が発言しているのかを認識し、画面の表示を発言者中心に切り替えることで、コミュニケーションをよりスムーズにできるようにする。音声だけを伝えるインテリジェントなノイズキャンセリングも可能だ。ビデオ会議などへの参加時にノートPCを持ち込み手元でキーボードを打つと「カチャカチャ」というタイプ音までマイクが拾ってしまい、会話内容が良く聞こえないということが解消させる。

 顔認識は、遠隔地で参加しているメンバーにも適用される。認識結果から、会議の参加人数を数え会議室の環境を最適化できるように可視化されたデータを総務部門に提供したり、社内ディレクトリと連携して、映っているのが誰なのかを画面に表示したりする(写真2)。人事システムと連携すれば、所属や業務経験、スキルセットといったプロフィール情報も会議中に必要に応じて表示できるし、FacebookなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と連携すれば、思いがけない共通点に気付く可能性も出てくる。

写真2:顔認識機能でビデオ会議の参加者数を数え、会議環境の最適化を図る

 「この人は誰だったかとモヤモヤした気持ちで会議に臨む必要もなくなるし、プロフィールが分かれば、より密度が濃い対話ができる。リアルな会議室に集まって議論するよりも、むしろバーチャルな環境のほうが議論に集中できるという“心地よさ”を体験できれば、『次もWebexで会議を開きたい』と考えるようになる」と石黒氏は語る。

これからのワークスペースはクラウド上にある

 各種の認識機能は、会議中以外でも有用だ。たとえば、会議が予約されているのに誰も入室していなければ、会議予約をキャンセルしたり照明を落としたりできるし、10人が参加できる会議室なのに常に5人以下でしか利用されていなければ、5人用の会議室2つに分けてスペースを有効に利用することができる。音声認識を組み合わせれば、議事録を自動的に作成することも可能になる。

 このようにコグニティブ・コラボレーションは、必ずしもビデオ会議やWeb会議だけを対象にした仕組みではない。最も重要なのは「クラウド上のワークスペースに必要な情報がすべて集約されており、そこにアクセスさえできれば、情報共有や意志決定ができること」(石黒氏)である。利用者は働き方や働く場所に合わせてツールを取捨選択すればよい。

 そこでは、「社内のみならず、社外のパートナーやサプライヤーなども巻き込んだ新しいチームワークやコミュニケーションの形態が形成される。それこそが、ビジネスの変化に臨機応変に対応できる働き方であり、アジャイル時代の組織のあり方だ」と石黒氏は強調する。

 大きな可能性を秘めたコグニティブ・コラボレーションだが、これまでの経緯を振り返れば、その効果を最大限に引き出せるだけの会議改革は進まないのではないかとの疑問もよぎる。

 その点に対し石黒氏は、「開会まで1年を切った2020年東京オリンピック・パラリンピック大会が試金石になる」と指摘する。国内外から大勢の観客が訪れる大会期間中、東京都内では現在のような定時での出退勤もままならない状態に陥ることが懸念されているだけに「今から、大会期間中の働き方について多様な選択肢を整えておかなければ企業活動そのものが停滞してしまう恐れがある」(同)からだ。

 大会期間に限らず、少子高齢化に伴う労働人口の不足は深刻化する一方だろう。「会議を含め、アジリティという新しい価値を生み出す取り組みに遅れをとる企業は、才能ある人材の確保すら困難になっていく」(石黒氏)。新しい企業カルチャーの醸成に向けて、AIなどのテクノロジーの力を借りない手はない。

写真:「2020年の東京オリンピック・パラリンピックが試金石なる」と語るシスコの石黒 圭祐 氏