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コンタクトセンターでの顧客との素早い情報共有が利益を生む

Genesys Cloud担当エグゼクティブ・バイスプレジデント オリヴィエ・ジューブ氏

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2019年12月12日

デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、企業と顧客の接点の1つであるコンタクトセンターの重要性が注目されている。自然言語に対応したAI(人工知能)のコンタクトセンターへの適用も進む。コンタクトセンターのデジタル化について、クラウド型データセンター「PureCloud」を展開する米GenesysでGenesys Cloud担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるオリヴィエ・ジューブ(Olivier Jouve)氏に聞いた。(聞き手は指田 昌夫=フリーランス ライター)。

写真:米GenesysでGenesys Cloud担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるオリヴィエ・ジューブ(Olivier Jouve)氏

――デジタル化によって、コンタクトセンターの役割はどう変わってきているか。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流からみれば、コンタクトセンター業界の動きは、むしろ遅いほうではないでしょうか。製造業などでは、もっと早くから手を打っています。コンタクトセンターの本格的なデジタル化は、これからです。

 変革への対応のカギは3つあります。まず、デジタル技術の進展でタッチポイントが急速に増えていること。2つ目はクラウドの普及です。そして3つ目がAI(人工知能)の進化です。特にAI活用については「カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)」と同時に「エンプロイーエクスペリエンス(EX:Employee Experience)」の観点からも重要だと認識しています。

 次世代のコンタクトセンターといえば、パーソナライズのためのデータ活用などが頭に浮かぶかと思います。しかし実は、それ以前に大事なポイントがあります。変革への対応のカギであるデジタル、クラウド、AIを同時に実装していかなければならないということです。どれか1つが重要とか、順番に導入できるものではありません。

CRMやERPが持つデータとの連携が不可欠

 もう少し具体的にお話しすれば、顧客個人の好みに合わせた体験を提供するためには、企業がこれまで取り組んできたCRM(顧客関係管理)やERP(統合基幹業務システム)といったIT領域、つまり「SoR(Systems of Record)」と呼ぶ領域のデータが必要です。これらに新しい顧客体験を提供する「SoE(Systems of Engagement)」を組み合わせる必要があります。

 つまり、データを集めるだけでも、ユーザーインタフェース(UI:User Interface)を良くするだけでもだめで、その両方が連携しなければならないのです。

 顧客の要求はさまざまであり、同時に顧客ごとに状況が異なります。たとえばネットショッピング中にカートに商品を入れて、それっきり放置している顧客の場合、カートに商品を入れたこと自体を忘れているのかもしれません。顧客の求めに応じるだけでなく、状況によっては先回りして、背中を押す働きかけも必要になります。

――そのための機能が増え現場には混乱もあるようだ。最新のコンタクトセンターでは、1人のオペレータが15ものアプリケーションの画面を同時に開き悪戦苦闘していると聞く。

 単にデータをオペレータに届け、それらを積み上げてしまえば、そうなってしまうでしょう。当社では、集めたデータを1つのインタフェースで見やすくまとめられる“オール・イン・ワン”であることが重要だと考えています。

 UIについても、デザイン思考を採り入れ「新時代のコンタクトセンターはどうあるべきか」という議論から始め開発しています。