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AI時代が求める「成果主義」のビジネスで、サステナビリティが価値提供の必須要件になる

米Autodesk CSO(最高サステナビリティ責任者) ジョー・スパイカー氏

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集長)
2026年6月26日

――現在のビジネス環境が抱えるボトルネックはどこにあるのか。

 AEC業界を見ると、最大のブラインドスポット(盲点)となっているのは、設計と施工の分断だ。

 設計会社が、CAD(コンピューターによる設計)で環境に優しい建物を設計したとする。それがどれだけ優れたデザインでも、データが施工会社に渡って実際の建設が始まると、現場の都合や部品調達の制約、度重なる変更指示によってデータの精度が失われていく。

 結果として、当初の意図とは異なるものが建てられてしまうケースが後を絶たない。引き渡し後にオーナーが「本当に狙い通りの環境性能が出ているか」を検証しようとすると、多大な時間とコストがかかってしまう。

 Autodeskが推進するプラットフォーム戦略は、このワークフローの分断をデータで解消するものだ。設計データから施工図面を直接生成し、ライフサイクル上流から下流までデータを連携させることで、最終的には実際の建物と全く同じデジタルツインをオーナーに引き渡せるようにしていく。

環境投資を利益に変えるために巨大テックも動く

――経営層が克服すべきブラインドスポットや、それを打破するアプローチはあるか。

 財務上の根深いブラインドスポットとしては、初期費用(CapEx)と運営費用(OpEx)を切り離して考えてしまう問題がある。初期費用を惜しんで、環境性能の低い安い資材を選べば、長期的な維持費や環境負荷に跳ね返ってくる。

 この壁を打ち破るために、フランスの大手建設会社のユニークな提案がある。初期費用の高さを懸念して、屋根への太陽光発電設備の設置をためらう顧客に対し「太陽光設備への投資は私たちが全額負担します。その代わり、そこで発電した電力を私たちから購入してください」と話した。

 顧客は初期投資をかけず、電力網から買うより安価でクリーンなエネルギーという成果を享受でき、その建設会社は長期的な売電収入を得られるようになる。お互いの利害が一致したからこそ、多くの顧客がこの提案に飛び付いた。

 もう1つの例として、ハイパースケーラー(巨大IT企業)の動向も参考になる。米Amazon(AWS)、米Google、米Microsoftといったデータセンターを大量に持つ企業は、長年にわたって運営中の電気を再エネに転換することに注力し、今や地球最大の再エネ調達者となった。

 しかし彼らも、「運用時カーボン」だけではなく、データセンターを拡張・増設していく際、そこで使用する材料の製造時に排出されるCO2「製造時カーボン」にも責任を持つ必要があると気付き、サプライチェーン上流への働きかけを始めている。

 さらに、米サンフランシスコのあるオフィスビルの調査では、コロナ禍以降に入居率が高く保たれていたビルの共通点として「築年数が浅く、または改修されていること」に加え、USGBC(US Green Building Council:米国グリーンビルディング協会)が環境配慮建物に与える「LEED認証」を取得していることが判明した。環境への投資が、高い稼働率というビジネスの成果として返ってきている好例だ。