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ドローンで農業を支援するファームアイ設立でヤンマーとコニカミノルタが組んだ理由

五味 明子(ITジャーナリスト)
2017年10月3日

農業を対象にドローンを使ったセンシング事業を手がける新会社、ファームアイが始動した。ヤンマーとコニカミノルタが2017年10月1日付で設立した合弁会社である。田畑や農園など、ほ場を対象に、リモートセンシングや画像解析のサービスをベースに、農作物の生育状況の診断や処方の改善提案を含むコンサルティング事業を展開する。なぜ両者の組み合わせなのか。

 ファームアイの事業の柱はドローンによるリモートセンシングである。自社保有するドローンにGPS(全地球測位システム)と、植生の分布状況などを示すNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化差植生指数)を取得できるカメラを搭載して飛行・撮影することで、ほ場のマップを作成し、作物の生育状況を把握する。

 リモートセンシングで得られたデータからファームアイは、農家に対し以下の3つのマップを提供する。

葉色マップ:葉に含まれる葉緑素含量(SPAD値)から、作物の栄養状態の分布を表す
茎数マップ:分げつ(イネなどで見られる親茎から枝芽が次々に発生していく現象)によって増えた生体の総数から、ほ場内の生体密度分布を表す
地力マップ:葉色値と茎数の積から窒素吸収量を推定し、地力窒素の分布を表す

 希望する農家には次の2つのマップも用意する。

追肥マップ:葉色を基準に肥料を与えるよう(施肥量)を決定する
基肥マップ:地力マップを基準に、植え付け前の施肥量を決定する

 いずれも、ヤンマーが取り組んできた営農支援のノウハウに基づくもの(写真1)。現時点では対象はイネだけだが、サトウキビなど他の作物への展開を検討しているという。

写真1:ファームアイが提供するサービスの範囲

無人トラクターなどで農業の課題解決に投資するヤンマー

 日本の農業が厳しい状況にあることは以前から指摘されている。少子高齢化による農業人口の減少や、ほ場の大規模化などだ。結果として、農業従事者1人当たりの、ほ場の管理面積は拡大するだけに、ITによる効率化は避けられない。

 農機などを開発・販売するヤンマーにとっても、「日本の農家に持続可能な未来を提供し、次世代の農業に向けて投資する」(ヤンマー 代表取締役副社長 兼 アグリ事業本部長の鈴木 岳人 氏)ことは重要なミッションだ。そのためにヤンマーはITによる営農支援を積極的に進めてきた。クラウドと連携した無人トラクターの開発なども、そうした取り組みの一例だ(-関連記事)。

 ファームアイ設立によるドローンを使ったセンシングでは、「農家の勘と経験を科学的に“見える化”し、データに基づいた営農支援によって、生産性の維持や収益の向上、さらに後継者の確保やノウハウ伝承に役立てたい」(鈴木氏)とする。