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スタートアップのビジネスを支えるアーキテクチャーと、その効果

AWS Summit Tokyoの「Startup Architecture of the year 2019」より

奥野 大児(ライター/ブロガー)
2019年8月20日

「TUNAG」のスタメン:8時間かかった集計を20分に短縮

 スタメンが提供する企業向けSNS「TUNAG」は、会社と社員、社員と社員のエンゲージメントを高めるのが目的だ。プロダクト部マネージャー兼テックリードの松谷 勇史朗 氏は、直近の課題として、(1)集計処理のスケーラビリティの確保、(2)事業展開に合わせた拡張性の確保、(3)ETL基盤の経験なくても短期間で構築したい、の3点を挙げる(写真5)。

写真5:スタメンのプロダクト部マネージャー兼テックリードである松谷 勇史朗 氏

 そこで、コストの最適化と運用上の優秀性をポイントにアーキテクチャーを改善した。結果として、「Lambda」のオートスケールを活用し8時間かかった集計を20分に短縮。マネージドサービスの活用により分析機能を限られたエンジニアリソースで短期間で実現できたとする(写真6)。

写真6:スタメンが採用するアーキテクチャー

 加えて、機械学習などの事業の可能性も広げられたという。

ストックマーク:を数秒で数十万の記事からレコメンドを分析

 ストックマークは、テキスト解析やテキストマイニングを強みにするスタートアップ企業。ニュース記事などをAIを使って収集・整理・分析する「A news」などを提供する。そのため「情報収集の効率化や情報の信頼性が常に課題になっている」とチーフエンジニアの谷本 龍一 氏は語る(写真7)。

写真7:ストックマークのチーフエンジニアの谷本 龍一 氏

 情報収集の効率化に向けた工夫の1つが、GPUコンテナを用いた独自AIエンジンによる分析。「DynamoDB」と「Elasticsearch service」を併用し、ネット上の数十万記事から数秒でユーザーにレコメンドする記事を選び出している(写真8)。

写真8:ストックマークが記事分析に採用しているアーキテクチャー

 システムは、プロダクトの成長に合わせて段階的にマイクロサービス化を図っており、環境・モジュールごとにインスタンスタイプを最適化してもいる。

スナックミー:サブスクリプションサービスの解約率を4%削減

 スナックミーは、身体に優しい“おやつ”を個々人にカスタマイズして届けるサービス「snaq.me」を運営している。サブスクリプションモデルのため、チャーンレート(解約率)をいかに下げるかが重要なことから、「利用者からのリクエストに応えるためのアサインシステムの強化・効率化を図っている」とCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任) & co-founder(共同創業者)の三好 隼人 氏は説明する(写真9)。

写真9:スナックミーの共同創業者でCTO(最高技術責任)の三好 隼人 氏

 具体的には、AWS Batch/Lambdaによるコストの最適化、AWS Step Functionsによる運用の向上、AWS Step Functions IAM/GuardDutyによるセキュリティ強化、ジョブの疎結合化による障害の極小化、Amazon CloudWatchによるパフォーマンス向上などだ。

 これらにより、アサイン業務の手動時間を週当たり5時間削減でき、チャーンレートが4%低下。MAU(Monthly Active User)/リクエスト率は10%向上したしている(写真10)。

写真10:スナックミーが採用するアーキテクチャーの効果