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ちょっとした雑談や相談がしたい、NTTコムが「NeWork」で目指すコロナ禍のコミュニケーション環境

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2020年9月25日

「オンラインワークスペース」をうたう「NeWork」は、NTTコミュニケーションズが2020年8月31日から提供しているコミュニケーションサービス。リモートワークが定着してきた働き方において、従来のオフィスでは“当たり前”だった雑談やちょっとした相談を可能にするという。新しい仕組みであり使ってみなければわからない」ということから、2020年9月4日に体験会を兼ねた説明会が開かれた。

 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「NeWork」は、リアルなオフィスでは“当たり前”だった雑談や相談などをオンライン環境で可能にするコミュニケーションサービス。あたかもオフィスにいるような感覚で気軽に話しかけられるという。現在は無料で提供されているが、今後は有償版の提供も検討するとしている。

聞いているだけや作業に集中している状況を可視化

 NeWorkの使い方としては、会社や部署、グループ、プロジェクトといった単位で「ワークスペース」を作成することから始まる。招待された参加者がログインすると、ワークスペース上に参加者のアイコンと、話題ごとに作られた「バブル(ミーティングルール)」が表示される。無料版では1つのワークスペースに最大50人が参加できる。

 表示されたバブルをクリックするだけで、ちょっとした会議や、雑談、相談が始められる。これを「JUMP IN機能」と呼ぶ(図1)。

図1:「NeWork」の主な機能

 「MY MODE機能」は、参加者の状態を把握するためのものだ。状態は、「オープン(相手の声も自分の声も聞こえる)」と「ワーク(相手の声は聞こえるが、自分の声はミュート。耳だけ参加している状態)」、そして「ゾーン(相手の声も自分の声もミュート。作業に集中している状態)」の3つがあり、それぞれをアイコンの色で表示される。

 さらに、誰がミーティングに参加し、どんな話をしているのか、バブルの中の様子をうかがい知るための「LOOK IN機能」の提供も予定する。これらの機能を組み合わせることで、立ち話感覚で気軽に声をかけられるという。

自社でのリモートワークにおける課題が開発のきっかけ

 NeWork開発のきっかけになったのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を防ぐため、NTTコム自身が働き方をリモートワークに切り替えたこと。現在は「95%の社員がリモートワークで働いている」とする。

 そうした「顔を合わせないという働き方の中で、何が必要になるか改めて考えた」と、NeWorkのプロダクトマネジャーを務めたプラットフォームサービス本部アプリケーションサービス部 担当課長の大野 智史 氏は振り返る。

 NTTデータ経営研究所およびNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが実施した「リモートワークにおける課題」についてのアンケートによれば、課題としては、「上司/部下/同僚とコミュニケーションがとれない」「職場の様子が分からない」「社内の様子が分からない」などが上位を占めた。

 大野氏は、「コミュニケーションを増やすために、Web会議システムで朝会を開いたりチャットを活発化したり、色々な工夫がなされているが、予め設定された会議の場以外でのコミュニケーションが希薄化していると考えた」と語る(図2)。

図2:予め設定した会議(上)と「NeWork」が目指すコミュニケーション環境の違い

 サービス開発を本格的に進めるに当たり、先端ユーザーや専門家にインタビューしたり、リモート会議ツールのユーザーへのデスクトップリサーチを実施したりした。結果、浮かんできたのが「3つの潜在ニーズ」(大野氏)である。

 第1は、コミュニケーションの絶対量の減少。第2が会議時間以外の余白の消失。そして第3が新しい気づきや雑談の減少だ。つまり、オフィスの片隅などでの立ち話感覚の、ちょっとした相談や雑談が、既存のWeb会議シテムでは難しい。それを解消する解として開発されたのがNeWorkというわけだ。