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工場での組み立て・検査工程の作業時間をカメラ映像から計測するソフトウェア、NECが発売

DIGITAL X 編集部
2021年10月7日

工場の組立・検査工程における作業員の作業時間をカメラ映像から計測するためのソフトウェアを、NECが2021年9月30日に発売した。数値データに基づく現場改善を促進する。併せて、同ソフトウェアを組み込んだ製品/サービスを提供する企業を対象にしたパートナー制度も開始する。同日に発表した。

 NECの「工場付加価値時間計測ソリューション」は、工場の組み立て・検査工程における作業員の作業時間をカメラ映像から計測するためのソフトウェア。付加価値を生んでいる時間とムダな時間を可視化することで、数値データに基づく現場改善を促進する。カメラ映像に基づくため常時測定ができるほか、工程管理や改善が遠隔からも可能になるとする。

 工場付加価値時間計測ソリューションのコアとなるソフトウェアは、工場内に設置する小型のボックス型コントローラーで動作する。カメラの映像をネットワーク経由で受け取り、そこから作業員の手や身体の動きを検出し、組み立て・検査工程における作業時間に換算し可視化する(図1)。

図1:「工場付加価値時間計測ソリューション」では作業エリアごとに稼働状況を可視化できる

 計測結果は、稼働率や稼働時間、停止回数などとしてダッシュボードに表示する。生産技術部門であれば、工程間の関連性やボトルネックになっている工程を分析できる。製造部門なら、工程別や作業別の付加価値時間を測定し、人員配置の最適化や作業員の指導・育成に向けた検討材料として活用できる。

 小型のボックス型コントローラーでも映像分析できるのは、手や人などに特化した映像分析用の学習モデルを採用し分析処理の負荷軽減を図っているためである。外部とネットワークでつながらない工場内での利用であっても映像解析技術を最新に保つため、6カ月ごとにアップデートしたソフトウェアを提供する。

 今回、工場付加価値時間計測ソリューションを組み込んで生産現場向けの製品/サービスを開発・販売する企業を対象にしたパートナー制度「NEC共創コミュニティ for Industrial Technology」を開始した。

 パートナー企業には、プロトタイプ版による検証/実証評価支援や、ハンズオントレーニング、専用窓口を通じた技術サポートの無償提供を用意するほか、共同セミナーやプロモーションなど、マーケティング面でも支援する。

 さらに、映像から取得したデータと生産設備から取得できるログを組み合わせて分析し品質管理の高度化を図る仕組みの開発など、技術支援や技術実証でも連携する。

 パートナー制度に参加予定のパトライトは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応の表示灯「WDシリーズ」による機械の稼働状況と、人の作業状況を組み合わせて、工場の総合的な稼働監視に取り組む。デンソーウェーブも同社のIoT製品を組み合わせ、人と設備の両面からの現場改善を可能にするとしている。

 工場付加価値時間計測ソリューションの価格は年間ライセンスが70万円(税別)。全世界で3年間に1000ライセンスの販売を目指す。