• News
  • 共通

4割超の企業がDXで“期待通り”以上の成果を獲得、成功に導く2つの視点とは

PwCコンサルティングの『2024年 DX意識調査(ITモダナイゼーション編)』から

田中 克己(IT産業ジャーナリスト)
2024年12月18日

「DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みで期待通りの成果を得ている企業は約4割」−−。こんな調査結果をPwCコンサルティングが2024年12月11日に発表した。調査結果からは「DXを成功に導く2つの視点」が浮かび上がってきたという。

 PwCコンサルティングの『2024年DX意識調査(ITモダナイゼーション編)』は2024年9月に、売上高500億円以上の企業・組織で、ITモダナイゼーションに関与している課長レベル以上の担当者を対象にWebで実施した調査をまとめたもの。

 調査ではまず、ITモダナイゼーションの成熟度を問うている。成熟度は、アジャイル開発手法、パブリッククラウド、クラウドネイティブ技術の3要素の活用度合いで測り、企業・組織を(1)先進、(2)準先進、(3)その他の3つに分けている。先進は、3要素を全社に活用する企業、準先進は3要素の一部で活用する企業である。

 2023年の調査結果と比較すると、先進が1ポイント増の9%、準先進は5ポイント減の48%だった(図1)。その他が4割以上と依然、多数派を占める状況が続く。調査にあたった中山 裕之 執行役員パートナーは「(ITモダナイゼーションに)大きな進展はみられなかった」と話す。

図1:ITモダナイゼーションの成熟度の経年変化(出所:PwCコンサルティング)

 それでも、アジャイル開発など3つの技術要素の活用は定着してきている。実業務で活用中とする回答は、アジャイル開発が72%(2023年調査は72%)、パブリッククラウドは78%(同80%)、クラウドネイティブ技術は78%(同82%)だった。前年から大きな進展はみられないものの高水準にある(図2)。

図2:アジャイル開発など3つの技術要素の活用状況(出所:PwCコンサルティング)

 注目を集める生成AI(人工知能)技術の活用も広がっている(図3)。生成AIが得意とする議事録作成やドキュメント作成に加え、プログラムコードの作成などシステム開発への活用が拡大し始めている。現時点の回答率は5~8%にすぎないものの中山氏は、「1年後には大きく広がっている」と予測する。

図3:生成AI技術の活用領域(出所:PwCコンサルティング)

 こうした技術活用が奏功してか、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みに対し「期待通り/期待以上」の成果が出たとする回答が41%あった(図4)。特に、先進に分類される企業・組織の回答率は96%にも高まる。準先進の51%や、その他の19%とは顕著な差がある。

図4:DXへの取り組みに対し「期待通り/期待以上」とする回答割合(出所:PwCコンサルティング)

 ちなみにPwCコンサルティングはDXを「デジタルテクノロジーの活用によってデジタル化を図り、ビジネスモデル全体を改善し、変化するビジネス環境に適応させて、最終消費者にとってより優れた価値を提供できる状態にすること」と定義している。