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大阪商工会議所の中堅・中小企業のマッチングイベント、対象を欧州発スタートアップに拡大
「MoTTo OSAKA オープンイノベーションフォーラム」より
これまでに60社以上が発表し900件以上のマッチングが成立
Motto大阪の運営スタイルは、提案側が最初に対象技術を説明し、参加者は、その技術の活用策などをエントリーシートにまとめ提出するというもの。そこから書類選考を経て個別面談に移るが、最初の”お見合い”には大商が“仲人”として同席するものの、以後は提案者と参加者とで進める。ただシーズがマッチした場合は、製品化・事業化までをサポートする。
費用は提案者も参加者も無料で、大商の会員以外からも地域を問わず受け付ける。開催頻度は2つのプログラムのそれぞれで年に2〜3回。コロナ以降はハイブリッド開催とし、リアル会場では、デバイスや製品などに実際に触れられるネットワーキングの場を設けている。
提案者としては2023年度までに、2つのプログラムで合計60社以上が発表している。ニーズ発表では、岩谷産業やオムロン、ダイキン工業、大和ハウス工業、LGディスプレイジャパン、TOA、日産自動車らが参加。シーズ発表では、イトーキ、大阪大学、コニカミノルタ、JAXA、富士通などが参加した。
そこから900件以上のお見合いを実施。最終的な成果としては、大阪ガスと金属加工品メーカーの大栄螺旋工業が技術提携し、小型・低コストの熱交換器を開発。同製品が大阪府茨木市に採用された例などがある。
大阪万博を契機に海外スタートアップとのマッチングを継続
大商がMotto大阪を始めたきっかけは、現在座長を務める立命館大学大学院 テクノロジー・マネジメント研究科長の名取 隆 教授から「(当時シリコンバレーで活発になっていた)オープンイノベーションの取り組みを日本の、ものづくりにも活かせないか」という提案を受けたことにある。
だが当初は、「どのような活動かを説明しても、なかなか理解が得られなかった。大企業に参加を募っても『技術を公開すると盗まれるのではないか』という懸念から開催に苦労した」と、大商産業部次長の西田 昌弘 氏は振り返る。ただ活動を続けるうちに、「参加者は貴重な技術に関する情報が得られ、提案側も埋もれていた技術や特許を活かすヒントが得られ、双方がビジネス化までの時間とコストを削減できるといった評判が広がっていった」(同)という。
西田氏は、「マッチングは不採択でも、大企業からは開発の背景や理由までを参加者に伝えられ、かつ、フィードバックが得られるといったメリットが理解されるようになった。世の中もオープンイノベーションを推奨する流れが強まっており、率先して開催してきた実績とノウハウが評価されるようになってきた」と話す。大阪以外からの参加者も増え累計で7500人以上が参加。ハイブリッド開催になり参加者数は、さらに増えているという。
大阪では2025年4月、大阪・関西万博が開催され、ビジネス視察の目的などでも海外からの訪問者が増えると見込まれている。その機会を捉え大商は、オープンイノベーションの取り組みを海外に拡大するという今回の経験を2025年度も続けていく予定である。