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【CES2026:最新技術編】AIブームが続く中、ディープテックとの接点やより具体的な活用例を強調

スタートアップはターゲット領域が集まるエリアへの出展型に

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2026年3月3日

広告やエンタテインメント領域へのAI利用が浸透

 2015年に登場した、広告マーケティングやコンテンツ、エンターテインメント分野が集まるC Spaceエリアは2026年も、コンベンションエリアから離れたホテルARIAで開催された。以前からB2B向けのプライベートなイベントエリアという印象だったが、2026年は特に、その傾向が強かった。米Amazon.Adsや米Netflix、中国TikTokらの出展ブースに入れるのは招待者のみで、オープンな展示は減っている。

 メインはカンファレンスで連日、基調講演やセッションが開かれ、どれも満席になるほど人が集まっていた。テーマは2025年に続いてAI技術が多数取り上げられた(写真5)。映画やコンテンツの制作現場でAI技術がどのように使われているかといったところから、マーケティングでの活用方法、ブランディングや著作権まで話題は幅広く、この分野へのAI技術の浸透が伺えた。

写真5:マーケティングやエンターテインメント関連のC Spaceでのカンファレンスのテーマは今年もAI関連が多かった

 基調講演に登壇した世界最大級の広告・マーケティンググループであるフランスHavasのCEOであるヤニック・ボロレ(Yannick Bolloré)氏もAIを取り上げ「AIによって業界の一部は仕事を失うだろう。AIは業務時間とコストの削減に役立てられからこそ、人間にしかできない創造性やアイデアにAIを活用することが大事になる」とした。同社は業界向けAI制作ツール「AVA」と開発中のAIペルソナを公開した。

ヘルスケア領域では健康と美容に加え“長寿”がテーマに

 AIに関する多くの展示の中で身近なカテゴリーの1つがデジタルヘルスである。メガトレンドに昨年に引き続きLongevity(長寿)が挙げられたように、これまでの健康や美容に加え、長く生きるためのAI関連ツールやサービスが登場している。

 例えば、約700社が参加するAARP(American Association of Retired Persons:アメリカ退職者協会)の「AgeTech Collaborative」のブースでは、出展するスタートアップ22社の約3分の1がAI関連だった(写真6)。

写真6:アメリカ退職者協会(AARP)は高齢化する未来を変革する技術を集めたブースを出展した

 同ブースには、睡眠やメンタル、歩行ケアなどの製品が並ぶ。イスラエルのAppscent Medicalは、香りにより呼吸のしやすさとリラックスを提供する「SCENTIFIC」を展示した。高度なレーダー式呼吸センサーと特許取得済みの嗅覚バイオフィードバック技術を使って利用者の呼吸と睡眠パターンを分析して作動する。ベッド横に設置する医療機器として認定されている(写真7)。

写真7:イスラエルAppscent Medicalの「SCENTIFIC」は香りで高齢者の安眠度を高める

 トイレで健康をモニタリングする製品も実用化が進む。TOTOと、同社が支援する介護テック企業の米Toi Labsは、両者のスマートトイレを出展した(写真8)。Toi Labsの「TrueLoo(トゥルー・ルー)」は、内蔵センサーと独自のAIアルゴリズムにより排泄パターンを分析し問題を検知・通知する。

写真8:TOTOと米Toi Labsのスマートトイレ。右側、Toi Labsの「TrueLoo」は既に米国とカナダで50以上の高齢者施設に導入されている

 これまでスタートアップは、スタートアップを集めた「エウレカパーク」に多数出展していた。2026年は上述したように、対象領域が集まるエリアに協賛企業などと出展するパターンを選んでいた印象だ。

 展示内容も、プロトタイプの段階を終えて、まもなく発売というものも多く、驚くようなアイデアに出会う機会も減った。ただ、フランスの「ビバテクノロジー」やポルトガルの「ウェブサミット」といった大型のスタートアップイベントとの違いを出すのであれば正しい方向性かもしれない。

 次回のCES2027が、さらにビジネス色を強めていくのか注視する必要がありそうだ。