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【CES2026:最新技術編】AIブームが続く中、ディープテックとの接点やより具体的な活用例を強調

スタートアップはターゲット領域が集まるエリアへの出展型に

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2026年3月3日

米ラスベガスで2026年1月6日から9日まで開催された国際テックイベント「CES2026」。年々、コンシューマー向け家電ショーからグローバルなデジタルビジネス商談会への転身を強めている。出展内容のトレンドやカテゴリーも少しずつ変化している。AI(人工知能)関連の出展が多数を占める一方で、スタートアップの出展は減る傾向にある。

 1967年に始まった「CES」は、まもなく60周年を迎える。日本では「セス」と呼ばれ、コンシューマー向けのデジタル家電ショーの印象が残るが、数年前から産業向けの出展が増えている。

 既に半数近くがB2B(企業間)の製品/技術だとの報告もある。実際、2026年の公式基調講演には、米AMDや独Siemens、米CaterpillarとB2B勢が並んだ。コンシューマー向けは球体型アリーナ「Spehre(スフィア)」で発表した中国Lenovoぐらいだ。

 CESを運営するCTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会)は毎年、会期前にメディアやリサーチャーを対象にしたイベント「Tech Trends」を開いている。

 2026年のTech Trendsではメガトレンドとして(1)Intelligent Transformation(AI技術によるインテリジェンスによる変革)、(2)Longevity(長寿)、(3)Engineering Tomorrow(次のエンジニアリング)の3つを挙げた(写真1)。それぞれの事例として紹介された企業や製品のほとんどはB2B向けだった。

写真1:CESの運営者CTAによるトレンド調査でもB2B(企業間)を対象にした内容が増えている

 展示会場でも、家電メーカーが集まるLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)のセントラルホールからSamsungが消え、ソニーはホンダモビリティと立ち上げた自動車メーカーAFFELAとしての出展にシフトするなど、全体的に家電製品の展示は減っている。中国を中心に周辺機器メーカーのブースがずらりと並ぶサウスホールも展示が減り、来場者の姿は少ない。

ディープテックとの接点になる新エリア「CES Foundry」が登場

 一方で、ロボティクスや自動運転技術といったカテゴリーが集まるノースホールやウェストホールは盛況で、業界関係者が数多く参加していたようだ。さらに今回は、ディープテック系企業の出展エリア「CES Foundry」が新たに設けられ、次の目玉にしようとしていた。

 「CES Foundry」のコンセプトはAIと量子イノベーションである。LVCCに隣接するホテルFontainebleau(フォンテーヌブロー)を会場に、1月7日と8日の2日間のみ公開された。展示、発表ステージ、ネットワーキングコーナーが設けられ、最先端技術に関する20 以上のライブデモが行われるなど、CESの他会場とは異なる雰囲気になっていた。

 CES Foundryの展示エリアの大部分は、NVIDIAの製品がずらりと並ぶ「NVIDIA Showcase」が占め、同社CEO(最高経営責任者)のジェンスン・ファン(Jensen Huang)が登壇した1月5日のプレスカンファレンスもCES Foundryで開かれた。NVIDIA Showcaseには、今回発表された次世代AIプラットフォーム「Rubin」を使ったフィジカルAIとして、ロボティクスやモビリティ関連の製品や研究開発事例が紹介されていた(写真2)。

写真2:CES Foundryの大部分を占めた「NVIDIA Showcase」ではモビリティやAIロボットが多数展示された

 AIと量子に関する話題やパネルディスカッションが開かれたステージ近くには、雑談ができるスペースやカフェが設けられ、参加者が交流しやすいようになっていた(写真3)。金融セキュリティやフュージョンエネルギーといったディープテック寄りのテーマを取り上げたライブデモは「専門的すぎるのではないか」と感じたものの、部屋に入りきれないほどの人があふれ、関心の高まりが伺えた。

写真3:CES Foundryのカンファレンスでは専門的なテーマが取り上げられたが参加者は多かった

 量子コンピューティングの展示は少なかったものの、商用化を進め米NASDAQに上場している米QCI(Quantum Computing)や、量子コンピューティングを使った世界初の消費者向けアプリケーション「ChatQLM」を発表したカナダのSuperQ Quantum Computingなど、話題のスタートアップがブースを出していた(写真4)。

写真4:カナダのSuperQ Quantum Computingは「ChatGPT」のように扱いやすい量子コンピューティングの実現を目指している

 他にも大手では米IBMや米Honeywell、韓国LG、インドTataの関連会社が出展し、関係者と直接対話ができる場になっていた。