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日本が優れる顧客理解の強みをAIエージェントでCX向上の武器に、米Genesys
KDDI、ビジネスや顧客の環境変化に対応できるコンタクトセンターの整備へ
ビジネスや顧客の変化に対応した顧客窓口の整備に取り組むKDDI
顧客理解の高度化に向けて、コンタクトセンターの刷新を大規模に進めるのがKDDIだ。同社はコンタクトセンター基盤(CC基盤)を全面的に再構築するプロジェクトを2025年8月から進めている。
CC基盤は、電話問い合わせを受け付けた上で、オペレーターの割り当てなどを自動化するためのシステムとなる。その開発をリードするKDDI コア技術統括本部 情報システム本部 DXシステム2部 グループリーダーの清水 翔太 氏は「個人・法人向けのコンタクトセンターに加え、代理店向けサポートセンターの基盤として運用している」と説明する(写真3)。
システムはオンプレミスで運用し、東京と大阪の2拠点に設置している。「利用拠点は北海道から沖縄まで日本全国にわたり、在宅勤務や海外からも利用する」(清水氏)という。コンタクトセンターの座席数は約9000席に及ぶ。
現行のCC基盤では既に、電話応対に関わる基本機能を有している。具体的には、発着信、IVR(Interactive Voice Response:電話自動応答)、要件確認、担当割り当て、ソフトフォン、通話録音、統計情報の収集などだ。清水氏によれば「顧客の問い合わせをAI判定して、該当オペレーターに振り分ける機能も備える」という。
それでも刷新を進める理由に清水氏は、導入した2012年当時から比べて「現状のビジネス環境や顧客の環境は大きく変わった」と危機感を隠さない。
ビジネス環境では「コンタクトセンター市場の成長率は鈍化が予測されており、今後は社外展開やBPO(Business Process Outsourcing)ビジネスが鍵になる」と清水氏は指摘する。だがCC基盤は「KDDI自社専用のため、ビジネスの拡大が困難」(清水氏)という側面があった。
顧客の環境では、問い合わせのチャネルの変化がある。「若年層はチャットなどのデジタルチャネルを好み、高齢層は電話を好む。それらを横断した問い合わせもあり、オムニチャネルでのタッチポイントを強化する必要がある」(清水氏)とする。
コンタクトセンター刷新のアセットをグループのビジネスに
これらの変化に対応するために次世代コンタクトセンターでは「AI技術の導入やクラウド移行に取り組んでいる」と清水氏は説明する。2026年6月から部分的にシステム移行を始めており「移行完了は2028年3月を目標」(同)に定める。
AI技術などの革新に合わせては「都度必要になるカスタマイズ開発によりオンプレミス環境での運用負荷が増加し、開発のアジリティ(俊敏)を高めたかった」(清水氏)ことが背景にある。新CC基盤には「Genesis Cloud」を採用している。
発着信やIVRなどの基本機能は、Genesys Cloud上でシステムを構築する。ほかに「KDDI独自の業務ロジックを個別に開発したり、社内システムとの接続したりが必要になる」(清水氏)ことから、クラウドサービス「AWS」(米AWS製)上で別システムを構築し、Genesys Cloudを連携させる構成にした。
一方、電話回線やネットワークについては、KDDI自身が提供するクラウド電話回線サービス「Cloud Calling for Genesys Cloud」を採用。「社内システムとの接続では専用線を引いている」(清水氏)とする。
新CC基盤におけるAI技術の活用について清水氏は「音声AIで顧客対応するボイスボットや、オペレーター向け生成AI機能『Agent Copilot』の利用など、有人応対を支援するところまで含めたあらゆる適用がプロジェクトの目標だ」と説明する(図2)。
現在はAgent Copilotを検証しながら導入検討を進める。具体的には、応対中の内容をリアルタイムにテキスト化したり、応対する内容に応じて回答案やFAQの内容を出したりする。応対後には、応対内容の要約や履歴登録などの後処理もする。
コンタクトセンター側でのオペレーター人材の不足も大きい。人材の採用難に直面しているほか、課題である「一人ひとりの生産性や応対効率の向上にもAI技術で対応する」(清水氏)考えだ。
CC基盤の再構築は、システム構築を手掛けるKDDIデジタルデザインや、BPOサービスのアルティウスリンクも加わったグループ一体で進める。最終的な構想には「再構築で投資したアセットを他社のコンタクトセンターシステムとして複製・再現することで、両社でビジネス拡大への貢献や売上創出を目指す」(清水氏)計画がある。

