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日本が優れる顧客理解の強みをAIエージェントでCX向上の武器に、米Genesys

KDDI、ビジネスや顧客の環境変化に対応できるコンタクトセンターの整備へ

齋藤 公二
2026年7月10日

CX(Customer Experience:顧客体験)の設計において、日本企業は一貫して「顧客理解」を最優先にするという独自の優れた強みを持つという。コンタクトセンター向けSaaS(Software as a Service)を提供する米Genesys(ジェネシス)は、顧客理解の強みを生かすためのAI(人工知能)エージェントを提供する。2026年6月11日に都内で開催した記者発表会で発表した。クラウド基盤への転換を進めるKDDIの担当者は、ビジネス環境の変化や対応チャネルに備えたグループの取り組みの進捗を話した。

 「顧客対応において日本企業は、効率化よりも『顧客理解』を優先できるのが強みだ。我々はCX(Customer Experience:顧客体験)の向上に向けて、顧客理解に寄り添ったAI(人工知能)コンタクトセンターの設計を強力に支援していく」--。コンタクトセンター向けSaaS(Software as a Service)を提供する米Genesys(ジェネシス)日本法人 代表取締役社長のポール・伊藤・リッチー 氏は、こうアピールする(写真1)。

写真1:米Genesys日本法人 代表取締役社長のポール・伊藤・リッチー 氏

 リッチー氏の発言の根拠になっているのが、同社がCXリーダーおよび消費者を対象に実施した調査をまとめたレポート『The State of Customer Experience: Asia-Pacific』での分析だ。

 企業に対する期待と実感を聞いた内容で、日本は「顧客の声に耳を傾け、その意図や目的を理解してくれる」が29%と最も多かった。次いで「企業は顧客の時間を大切にし、効率的に課題を解決してくれる」が20%となる。グローバル企業ではこの数字が逆転し、前者が21%で後者が28%だ。

 ただし日本は、顧客理解に強みを持ちながらも、AI技術の適用には遅れをとる。その狙いとして「顧客視点でAIが支える新しい顧客体験を設計する」という項目では、グローバルは89%に達しているのに対し、日本は58%に留まる。また「AIを活用して、カスタマージャーニー全体の課題を特定する」でもグローバルは86%に対し、日本は54%とポイントに開きがある。

顧客のコンテキストを理解して、適切な回答を自律的に返す

 Genesysは直近、コンタクトセンターにおける顧客対応のフロントに立つAIエージェント「Agentic Virtual Agent」を投入した(図1)。オペレーターに代わって実務を自律的にこなすだけでなく、会話内容から顧客の意図や文脈(コンテキスト)を判断し、必要に応じて有人対応へとシームレスに引き継ぐ。AI技術を調和・連携させる「エージェンティック・オーケストレーション」構想の中核機能となる。

図1:GenesysのAIエージェント「Agentic Virtual Agent」の画面例

 Genesys SVP General Manager プロダクトマネジメント担当のマイク・スラージ(Mike Szilagyi)氏は「顧客を喜ばせ、卓越した体験を提供することで、顧客を生涯にわたって維持できるようになる。その体験をいかにオーケストレーション(統合的な最適か)できるかが重要になってくる」と指摘する(写真2)。

写真2:Genesys SVP General Manager プロダクトマネジメント担当のマイク・スラージ(Mike Szilagyi)氏

 Agentic Virtual Agentでは、ルールベースに沿った事実確認やFAQ(よくある質問と答)への誘導だけでなく、顧客の状況を判断して適切な対応ができるようにする。技術的にはLLM(Large Language Model:大規模言語モデルとLAM(Large Action Model:大規模アクションモデル)を組み合わせて、会話から実際のバックエンドシステムでの手続きまでを完結させる。

 実際の挙動例として、顧客が「NISA口座を開設したが開設状況を教えて」と音声で問うと、電話番号を問い返して本人認証した後、開設状況を案内する。続いて顧客が「NISAとファンドラップではどちらがおすすめか」と一歩踏み込んで問うと「個別の投資アドバイスを提供することはできない」と判断・応答して、オペレーターに引き継ぐ。