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下水道機器メーカーの石垣、機器の監視・予測・制御をスマホからできる「miyoru」を開発

Microsoft Azure使い必要な機能を自社開発

2022年7月29日

――「miyoru」の開発では、日本マイクロソフトからさまざまなサポートを受けたと聞きます。同社をパートナーに選んだ理由は何でしょうか。

中村 晋(以下、中村) :企画推進部 情報システム課 課長の中村 晋です。日本マイクロソフトとは以前から「Office 365」などのソフトウェア購買で取引がありました。2020年頃に社内で、IoTをクラウドサービス「Microsoft Azure」でやってみよう、という話が出てきた際に、それならとAzureのライセンス込みで「Microsoft 365」に移行し、並行してIoTの試験も始めるようになったのです。

写真2:石垣 企画推進部 情報システム課 課長 中村 晋 氏

 そうした中で2021年5月頃、Azure営業の市川さんが当社の担当として着任されたのを機に、私がIoTに関する無理難題をいろいろ持ちかけて、相談に乗っていただいたのがサポートを受けるきっかけです。

――石垣がほぼ白紙の状態からIoTに取り組んでいる状況下で、日本マイクロソフトとしてはどのようなスタンスでサポートに当たったのでしょうか。

市川 健介(以下、市川) :日本マイクロソフト デジタルセールス事業本部 Digital Specialistの市川 健介です。私自身はAzureの担当ですが、MicrosoftのクラウドにはAzureとMicrosoft 365、そして「Dynamics 365」の3領域があり、顧客の要望に応じて幅広い提案ができることが、他社にはないアドバンテージだと自負しています。

写真3:日本マイクロソフト デジタルセールス事業本部 Digital Specialistの市川 健介 氏

 石垣様のIoTプロジェクトにおいては、まず社内のDXレベルを1つ上げるという意味で、Microsoft 365を最初に採用いただきました。

 下水道展で公開されるmiyoruは、まだPoC(概念実証)を終えた段階で、今後の本番リリースから客先への導入に向けて、さまざまな課題が出てくると思います。そうした相談に日本マイクロソフト側の窓口になると同時に、あくまでプロジェクトの一員として石垣のみなさんとも一緒に話ながら、1つひとつの課題を解決していきたいと考えています。

遠隔地の排水ポンプを遠隔地からスマホで監視・制御する

――miyoruは具体的には、どんな機能を提供できるのでしょう。

石垣 :miyoruを一言で言えば「脱水機とポンプのIoT化」をクラウドとスマートフォンを使って実現しようとしたものです。ポンプのIoTは、排水設備や河川の水門に設置されたポンプの稼働状況や水の増減などに関するデータを、ポンプに取り付けたIoTセンサーで収集し、その分析結果を定期的あるいは、ほぼリアルタイムに管理者がスマホの画面で確認できる仕組みです。

中村 図1 はmiyoruの全体イメージです。大きく、監視、予測、制御の3つのカテゴリーの機能を提供しています。図1にある5つのスマホ画面のそれぞれは、次のような機能を示す画面です。

(1)リアルタイム監視 :遠方から脱水機・ポンプの稼働状況などをリアルタイムで見られる
(2)動画マニュアル :ユーザー自身が設定などができるよう動画による解説を提供
(3)機器異常検知 :機器の異常を検知し管理者のスマホにアラートを送信
(4)消耗品の交換予測 :消耗品の耐用年数や使用頻度をもとに交換時期の目安を提示
(5)浸水予測 :Googleマップとオープンデータからポンプ設置場所の雨量などを提供

図1:「miyoru」の全体イメージ。機器の稼働状況の確認のほか、ポンプの設置場所の雨量なども提供する