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下水道機器メーカーの石垣、機器の監視・予測・制御をスマホからできる「miyoru」を開発
Microsoft Azure使い必要な機能を自社開発
miyoruの開発のきっかけになったのは、当社の全速全水位型横軸水中ポンプ「FLOOD BUSTER(フラッドバスター)」の顧客からのご要望です。
FLOOD BUSTERは水位に合わせてポンプ本体が自動的に運転状態を切り替えるという当社の独自技術を活かしています。ある時、その顧客から「ポンプでどれだけ排水ができているのか、稼働状況をスマホで見たい」というご要望があり、当社でIoTの開発をはじめました。
開発をさらに進め、汎用性の高いソリューションに仕上げたのがmiyoruです。近年はゲリラ豪雨による被害が多発しており、これらは浸水対策に大きく貢献できると考えています。
今後はさらに機能を追加したり、AI(人工知能)技術を活用して予測精度を高めたりといった取り組みを進めていかなくてはなりません。そこはぜひ、市川さんを中心に日本マイクロソフトからのサポートを得たいと考えています。
市川 :今後の機能強化についてはデータの設計が非常に重要になってきます。Microsoftには、DX推進のための「Microsoft Cloud 導入フレームワーク(CAF)」や、データ活用を検討する際の肝となる「デジタルフィードバックループ」といった考え方など、顧客のDXを効果的に支援するフレームワークや支援プログラムがあります。これらを活用し、今後も常にサービスを進化させていける環境を、石垣の皆様とともに考えていけたらと願っています。
データを起点とした顧客に最適化した製品/サービスや新たなビジネスを創造
――miyoruの取り組みを通じてAzureをどう評価していますか。
中村 :Azureでは機能を実現する「パーツ」をボタンひとつで非常に簡単に作れます。情報システムの経験者であれば、ポチポチやりながら実現したい機能を理解しながら作業を進められます。miyoruのプロジェクトが、2021年7月のスタートから約1年で下水道展で公開できるところまで進んだのも、Azureならではの開発スピードの速さが大きく貢献しています。
石垣 :IoTの取り組みを始めた時に、スモールスタートでいく方針を決めました。最初から大きく決めて全員で動くより、小さなことをいくつも試しながら可能性の見極めはスピード重視で、「いける」と判断したらどんどん肉付けしていく。このスピード感を出すうえでも、Azureの採用は的確だったと感じています。今後も引き続き、小さなベストプラクティスを生み出し、それを積み上げながら、最終的に全社へと展開していく考えです。
――DXへの取り組みについて今後の展望を教えてください。
石垣 :当社の強みは、長年にわたる数多くの実績があること。もう1つは、長年使っていただく機器なので長期かつ多種多様な顧客の運転データが収集できることです。なおかつ個別受注生産品が多いので、今後はmiyoruのような仕組みを通じて得られたデータをもとに、客先ごとに個別最適化を図っていける。これは当社だけの強みになるし、顧客にとっても当社を選んでいただく大きなメリットになります。
その意味でも今後はさらに、IoTだけにとどまらないDXへの取り組みを拡大・推進し、顧客ニーズを積極的に反映できる製品づくりを進めていきたいと思っています。
脱水機やポンプなどの機器から生み出されてくるIoTデータを分析し、それをもとに顧客もまだ気づいていない課題に応える製品やサービスを、先手を打って提案していきたいと思います。従来の機械製品だけでなく、データ活用のソリューションや活用ノウハウの提供を含めた新たなビジネス領域の可能性を探っていきたいと考えています。