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ヤマト運輸、鉄道で貨物を運ぶ「客貨混載」を岐阜県で開始

DIGITAL X 編集部
2018年2月28日

ヤマト運輸は、ローカル鉄道に貨物を載せて運搬する「客貨混載」を岐阜県で開始した。配送拠点から離れた地域の最寄り駅まで貨物を鉄道で運び、最寄り駅から宅配用トラックで配送する。宅配担当者の負担の軽減やCO2排出量の削減などを期待する。2018年2月21日に発表した。

 ヤマト運輸が鉄道を使った「客貨混載」を始めるのは、長良川鉄道の越美南線(えつみなんせん)。「関」駅(岐阜県関市)から「美並苅安(みなみかりやす)」駅(岐阜県郡上市)までの約23kmの区間で客貨混載を実施する(図1)。

図1:長良川鉄道越美南線の車両

 美並苅安駅がある郡上市は、岐阜県で2番めに広く人口密度が低い。ヤマト運輸は郡上市に郡上支店を設置しているが、同支店から郡上市の各世帯に荷物を届けるには長距離を走行する必要があり、配送担当者には負担になっていた。

 今回の客貨混載では、関市にあるヤマト運輸の岐阜ベースで貨物を保管ボックスに積み込み、関駅を毎日13時16分に発車する列車に乗せる(図2)。保管ボックスは列車に固定し社員は同乗しない。美並苅安に13時55分に到着する補完ボックスをヤマト運輸の社員が降ろし、宅配用トラックで郡上市美並町の各世帯に配達する。

図2:長良川鉄道越美南線を利用した客貨混載の流れ

 長良川鉄道を使った客貨混載により、ヤマト運輸は宅配用トラックの移動時間を約2時間削減できる。荷物集配の効率が上がり、担当者の休憩時間を延長できるため負荷を軽減できる。1日当たりのトラックの走行距離も約24km短くなるため、燃料費やCO2排出量を削減できる。配達担当者が美並町に滞在できる時間が長くできるので、当日発送の集荷締め切り時間を延長できるなど住民に向けた宅配サービスの向上も図れる。

 一方、長良川鉄道は第三セクター鉄道であり”沿線住民の足”という役割を担うために、経営基盤の強化を進めている。宅配貨物を列車で運ぶことで新たな収入源を確保できるため、路線を維持し地域住民の生活基盤を保つ一助になる。

 なおヤマト運輸は、乗り合いバスを使った客貨混載を愛知県豊田市で2018年1月26日から、ローカル鉄道を利用した客貨混載を和歌山市で2月16日から、それぞれ開始している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ヤマト運輸、和歌山電鐵
業種物流
地域岐阜県関市、岐阜県郡上市
課題住宅が密集している地域への配送では、トラックを使うと業務効率が落ちてしまう
解決の仕組み住宅密集地域に向かう列車に貨物をまとめて載せ、目的地近くの駅で下ろし、配送先には自転車で届ける
推進母体/体制ヤマト運輸、和歌山電鐵
活用しているデータ
採用している製品/サービス/技術荷物保管ボックスを固定できる列車
稼働時期2018年2月21日から