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コニカミノルタ、5G装備の大阪拠点で画像IoTプラットフォームの開発を強化

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2020年12月11日

コニカミノルタが、大阪府高槻市に新たな研究開発拠点「OSAKA Center」を開設した。ローカル5Gをはじめとする種々の実証実験が可能なオープンラボやショールームを設け、NECやKDDIといったパートナー企業らとの共創による価値創造を加速する。開発するのは、同社が強みとする画像処理技術を使ったIoT(モノのインターネット)プラットフォーム。カメラ、オフィス機器に続く、新たな事業創出を狙う。

 コニカミノルタが大阪府高槻市に2020年11月6日に開設した「Innovation Garden OSAKA Center」は、同社最新の研究開発拠点である(写真1)。成長戦略の柱である画像AI(人工知能)と高速処理技術を活かした画像IoT(モノのインターネット)プラットフォームの開発を関西地区で本格的に展開するのが目的だ。

写真1:「Innovation Garden OSAKA Center」

 関西地区において同社は、大阪・梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を2019年8月に開設している。都心部にある梅田サイトと、機材や設備の充実を図った高槻サイトという2拠点に人材を集約し、人材交流と技術開発の両面からオープンイノベーション(共創)を加速し、新たな事業創出を目指す。

 OSAKA Centerの研究開発機能の充実を図るため、情報機器や制御系を扱う伊丹サイト(兵庫県伊丹市)の一部機能も集約している。

 代表執行役社長 兼CEO(最高経営責任者)の山名 昌衛 氏は、「11年前に写真カメラ事業から撤退し、複合機を中心にオフィス事業に取り組んできた。さらなる創造性とバリューを発揮する事業転換を進め、イメージング領域を進化させる」とOSAKA Centerに大きな期待を寄せる(写真2)。

写真2:コニカミノルタ代表執行役社長兼CEOの山名 昌衛 氏

企業連携に向けた画像IoTプラットフォームを確立へ

 OSAKA Centerでの開発を強化する画像IoTプラットフォームが「FORXAI(フォーサイ)」だ。山名氏は「これまでは人が求める『見たい』に技術で応えてきた。そこにIoTとAIを組み合わせ、見えないものを見える化する技術で真の生産性を提供する。FORXAIを構築し、多くの企業と力を合わせる共創によってデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速し価値創造につなげる」(同)と力を込める。

 FORXAIでは、画像、光学、材料、微細加工の4つのイメージング技術をコア技術に、IoT/AI技術を融合することでプラットフォーム化を図り、多様なアセットを持つパートナー企業との連携を模索する(写真3)。

写真3:イメージング領域を拡大し画像IoT/AI技術プラットフォームを構築する。

 画像IoTソリューション事業担当執行役の江口 俊哉 氏は、FORXAIについて、「サービスの立ち上げに必要な基本機能が用意されており、各社が持つアルゴリズムを組み合わせればすぐに運用できる。AIを活用したエッジでの解析処理とクラウド側での処理を最適なバランスで提供できるため、初期投資とサービスの管理コストを下げられる」と説明する。

 FORXAIの実態は、エッジデバイスとエッジサーバー、およびクラウド上で動作するソフトウェア群である(写真4)。独自のセンシングデバイスを用意し、早くから開発を進めてきた画像解析アルゴリズムは汎用性も高く、製品化に応用しやすいという。各種AI機能を解決したい課題に合わせて最適化するための開発環境としてAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)やSDK(ソフトウェア開発キット)を提供する。

写真4:FORXAIは様々な分野で画像IoT/AI技術を素早く開発、実装するソリューションを提供する。

 FORXAIは、これまでにも医療や介護、製造、プラント、農業といった業種・業態において、非接触化や、遠隔監視、非破壊検査、マシンビジョンによる検出などに活用されている。スマートファクトリーへの応用では「運用コストが30%さがった例がある」(江口氏)とする。

 OSAKA Centerでは、FORXAIを活用したサービスや、カメラなどのデバイスに実装した事例を体験できるエリアを設けている。「FORXAIで開発したサービスをオフィスで使うとどうなるか、5G通信がどのような影響を受けるかといった実験などを先進技術を整備した環境下で実施し、新規事業やサービスを効率良く開発できる場として幅広く利用してほしい」と江口氏は話す。

 FORXAI利用料は、協業の“場”としての提供料やAPI課金などを想定しているが、具体的にはまだ設定されていない。まずは「プラットフォーマーとして儲けようとはせず、仲間作りのために運用する」(江口氏)。10社ほどのパートナー企業との連携からスタートし順次拡大していくという。