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チェコの軍用機大手AERO、生産計画の精度を高めるためにERP導入しPLMと連携へ

DIGITAL X 編集部
2025年1月20日

チェコの軍用機大手であるAERO Vodochy AEROSPACEは、生産計画の精度を高めるのを目的にERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムを導入した。PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)システムと連携させ、製品品質の安定化と生産能力を高める。システムを提供するスウェーデンIFSの英国法人が2024年11月28日(英国時間)に発表した。

 チェコのAERO Vodochy AEROSPACE(アエロ・ボドホディ・アエロスペース、以下AERO)は、軍用ジェット機「L-39 SKYFOX」などを手掛ける航空機メーカー(写真1)。自社製品の開発・製造に加え、他の航空機メーカーに向けた部品の開発や機体の修理・オーバーホールなども手掛けている。

写真1:チェコAERO Vodochy AEROSPACEが製造する軍用ジェット機「L-39 SKYFOX」

 このほど、生産プロセスにおけるボトルネックを削減し、一貫した品質を確保するためにクラウド型ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムの導入を決めた。生産能力を高めるのを目的に、全社の約900人が利用する見込みである。

 ERPシステムは既存のPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)システムとの連携を図る。PLOが持つ設計初期段階や製造プロセスのシミュレーション機能を使い、生産や組み立てをデジタル環境上で検証したり、CAD(コンピューターによる設計)データや関連情報を可視化する。検証結果をERPシステムに反映することで、生産計画の精度を高めたり、作業やデータのばらつきをなくしエラーを抑制したりする。

 Aeroのヴィクトル・ソトナ(Viktor Sotona)取締役会会長 兼 社長は、「ERPシステムの導入は、全ての生産プロセスを管理し生産をデジタル化するための大きな一歩である。製品の開発から計画・生産、サプライチェーンにいたるまでを大幅に改善できる」と話す。

 ERPシステムには、スウェーデンIFSの「IFS Cloud」を採用。導入やコンサルティングはポーランドのInfoConsultingのチェコ部門が支援する。既存のPLMシステムとしては米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの「Teamcenter」を導入しており、研究開発と製造、生産の各部門全体で700人以上が使用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名チェコのAERO Vodochy AEROSPACE
業種製造
地域チェコ・中央ボヘミア州オドレナ・ボダ町(本社)
課題製品ライフサイクルにおける品質の安定を図り、航空機の生産能力を高めたい
解決の仕組みERPシステムを導入し、PLMシステム上で実行するシミュレーション結果などと連携することで生産計画の精度を高める
推進母体/体制チェコAERO Vodochy AEROSPACE、スウェーデンIFSの英国法人、ポーランドInfoConsulting
活用しているデータ製品ライフサイクルでの設計情報、シミュレーション結果など
採用している製品/サービス/技術ERPシステム「IFS Cloud」(スウェーデンIFS製)、PLMソフトウェア「Teamcenter」(米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア製)
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