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東京電力エナジーパートナー、全18拠点を統合するAIコンタクトセンター基盤をCX向上の起点に

「AWS Summit Japan 2026」より、サービスソリューション事業部 副部長の今野 拓也 氏

森 英信(アンジー)
2026年7月28日

 併せて、応答率や待ち時間などの指標をリアルタイムで可視化するダッシュボードも整備した。管理者はオペレーターごとの応対経過時間を把握し「支援が必要な担当者へフォローを入れられるようにした」と今野氏は説明する。

 短期間でのリプレースを支えたのが、明確な開発方針の徹底だった。今野氏は「業務にシステムを合わせ過ぎると必ずカスタマイズが生じる。それを最小限に留める方針が、結果として運用しやすいシステムの実現につながった」と説明する。標準機能をできる限り使い、スクラッチ開発を抑えることで構築スピードを高めた。

 一方で、生成AI技術のプロンプト調整や画面デザインの構成は「現場オペレーターの意見や事業特性を反映しながら、試しては精度を磨く作業を並行して進めた。今野氏は「地道だが、一つひとつ現場の声を聞き、確認を重ねて進める工程がフェーズ1の成果を左右した」と強調する。

AIエージェントの本格活用で応対をよりリアルタイムに

 次なるフェーズ2で掲げる軸は、(1)オペレーターの自己完結化、(2)システム環境の完全統合化、の2つだ。人件費の高騰や採用難が加速する中「オペレーターが情報検索や判断に追われる状況を放置すれば、組織運営は立ち行かなくなる」と今野氏は危惧する。

 自己完結化では、AIエージェントの本格活用が中核を担う。用件の振り分けでは、顧客自らに番号をプッシュさせるIVRを廃止し、顧客が自由に話した用件を解釈して適切な窓口へ案内する「AI Call Routing」の導入を構想する(図4)。一次応対の局面では、従来のシナリオ型ボイスボットに代え「生成AI技術による自然な会話を実現することで、途中離脱を防ぎながらコールバック予約などの受け付けを完結させる」(今野氏)

図4:用件振り分けや一次応対にAIエージェントを使う例

 応対中のオペレーターに対しては、ナレッジ検索機能で最新情報をリアルタイムに提示し、応対後の記録や登録もAIエージェントが補佐する。法令チェックも「終話後ではなく会話中にリアルタイムで判定する形へ進化させる」(今野氏)という。

 さらに、管理者が1つの会話ずつ実施していた応対品質の評価を、生成AI技術を使う仕組みに移管する(図6)。「オペレーターが管理者の支持を待つことなく、自分ですぐにフィードバックを受け取って自主的にスキルを育成できる環境は、大きな意味を持つ」と期待を寄せる。

 完全統合化では、受電環境をSEEDSへ一本化し、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムとの連携を図る。顧客・契約情報の参照や登録処理の自動連携が進めば、オペレーターの負担は一段と軽くなり、保守・運用の簡素化とコスト抑制にもつながる。今野氏は「大規模なシステムおよびインフラ基盤について、2027年度中の構築を目標に、具体的な検討を始めている」と説明する。

 講演の最後に今野氏は「まずはオペレーターが自身のやるべき業務に集中できるよう効率化・高度化を進める。その上で、顧客に一番近い存在として価値を届け、選ばれる企業を目指したい」と力を込める。