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東京電力エナジーパートナー、全18拠点を統合するAIコンタクトセンター基盤をCX向上の起点に

「AWS Summit Japan 2026」より、サービスソリューション事業部 副部長の今野 拓也 氏

森 英信(アンジー)
2026年7月28日

東京電力(TEPCO)グループの東京電力エナジーパートナーは、コンタクトセンター受電基盤を刷新し、全18拠点での業務効率化とCX(Customer Experience:顧客体験)向上を段階的に進めている。同社 サービスソリューション事業部 副部長の今野 拓也 氏が「AWS Summit Japan 2026」(主催:米AWS日本法人、2026年6月25日〜26日)に登壇し、取り組みの進捗と、生成AI(人工知能)技術を用いた応対要約や法令チェックの自動化といった最新事例を話した。

 「顧客に選ばれる企業の前提は、CX(Customer Experience:顧客体験)を大事にすることだ。ある種の発想の転換だが、コンタクトセンターではCXを起点として、多様化する困り事やニーズに対して、サービスや対応の手順をスピーディーかつ柔軟に合わせていく」--。東京電力エナジーパートナー サービスソリューション事業部 副部長の今野 拓也 氏は、こう強調する(写真1)。

写真1:東京電力エナジーパートナー サービスソリューション事業部 副部長の今野 拓也 氏

 東京電力エナジーパートナーは、東京電力(TEPCO)グループの中で電力・ガスの小売事業を担う。今野氏が所属するサービスソリューション事業部は、契約や手続きの受付に始まり、契約内容の登録・管理、料金の発行・請求、収入・督促に至る一連のオペレーションを担当する部門だ。

 エネルギーの自由化に伴いサービスや契約内容の選択肢が増えるにつれ「事業は複雑化し、分かりにくさが増している」と今野氏は話す。顧客接点においては「いかにシンプルで分かりやすく説明できるかが問われている」(同)と問題意識を示す。

コンタクトセンターの業務効率化とCX向上の両立を段階的に進める

 Webやデジタルでの手続きが普及する一方で、東京電力エナジーパートナーの受付では「今なお電話チャネルが約4割を占める」(今野氏)という。電話対応において課題とするのが「IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)の複雑化、(2)応対パターンの複雑化による生産性の低さ、(3)システム分散に伴うデータの不活用、の3つ」(同)だ。

 IVRの複雑さでは、引っ越しや料金照会など用件ごとの選択肢が増加した結果、顧客が目的の窓口にたどり着きにくくなる。メニューが増えるほど「オペレーター側も、多岐にわたる用件すべてにスキルを備えるのは難しく、想定と異なる窓口につながるミスマッチが生じていた」(今野氏)という。

 応対パターンの複雑さでは、電力自由化に伴い遵守すべき重要事項説明などが増えた点に起因する。オペレーターは案件ごとに情報を精査し「管理者への問い合わせや手上げ確認を繰り返す運用に迫られている」(今野氏)

 システム分散に伴うデータの不活用では、拠点ごとに異なる受電システムを運用している現状を指す。今野氏は「現場で蓄積した会話データを、組織的な応対品質の向上や業務効率化に還元し切れていなかった」と説明する。

 これらの課題に対し、同社はコンタクトセンター変革のロードマップを(1)フェーズ1:受電基盤のリプレースによる業務効率化、(2)フェーズ2:CX向上とさらなる生産性向上、の2段階で描いた。今野氏は「まずは基盤の刷新による業務効率化を確実に達成し、その上で次なるチャレンジへと移行する」と全体像を説明する(図1)。

図1:東京電力エナジーパートナーのコンタクトセンターの段階的な刷新ロードマップ

 フェーズ1に着手した直接の引き金は「十数年にわたり運用してきたオンプレミス型受電システムの保守期限切れだった」と今野氏は説明する。これを機に、旧システムを利用する計18拠点を対象として受電基盤の刷新を決断した。