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コスモ石油、製油所の設備点検への四足歩行ロボット利用を検証

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年7月31日

将来的には全製油所でのロボットによる常時点検を計画

 PoCでは、1台のSPOTを使い、自律走行による点検やデータ収集と、タブレット端末からの無線遠隔操作とを検証した。人による巡回点検を支援するために、階段の昇降や夜間走行、人や障害物の迂回など点検時に必要な動作ができるかどうかも確認した。

 データの取得では、圧力計や電流計、液面計、油面計、流量計の読み取り、水路の油膜確認、夜間のデータ取得を試した。画像解析による測定値の読み取りと画像の差分による設備状態の判定は、取得したデータを使った検証を続けている。

 予兆保全に向けては、超音波カメラが空気配管の接続部から生じていた微量なエアー漏れを捉えた。吉井氏は「人による点検では見つかっていなかったものだ。今回は無害な空気の漏れだったが、仮に水素などの危険なガスであっても、微量な漏れを早期に見つけられるという示唆が得られた」と手応えを話す。

 サーマルカメラでは、劣化したスチーム配管保温材の温度や、ポンプ軸受けの表面温度を取得できることを確認できた。「継続的にデータを蓄積すれば、温度変化から劣化の兆候を捉えられる可能性がある」(吉井氏)とする。超音波で稼働中のポンプの音響を捉え異音を定量評価するためのデータも取得した。

 今後はPoCの結果を基に、自律走行の安定性やデータの取得精度、異常検知へのデータ活用、現場での運用性を総合的に評価する。その上で、堺、四日市、千葉のいずれかの製油所に本格導入し実績と運用ノウハウを蓄積していき、その後に全ての製油所へ段階的に展開したい考えだ。

 将来的には各製油所で複数台のロボットを導入し、常時点検する体制への移行を想定する。必要台数は精査中だが吉井氏は「今回の排水処理設備での検証では1台でも余力があった。1つの製油所を10台程度でカバーできる感触を得た」とする。ただ利用するロボットは「SPOTに限定せず、技術の進展や点検場所に応じて人型ロボット(ヒューマノイド)を含む別の機体も検討する」(同)という。

 本格導入に向けては、安全対策と地元行政との連携についても詰める。「防爆エリアで運用する場合は、地元消防との協議や行政ガイドラインの検討が必要になる」(吉井氏)ためだ。

 今回のPoCは非防爆エリアで実施した。SPOTは非防爆仕様であり、PoCでは人の呼気に含まれるCO2を検知し自動停止できることを確かめた。ロボット自体を防爆化することは技術的に可能だが吉井氏は「ガス検知時の自動停止などの安全措置を組み合わせ、非防爆仕様のまま使う方向で理解を得たい」と話す。必要に応じて再度検証を実施する可能性もある。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名コスモ石油
業種製造
地域大阪府堺市(堺製油所)
課題稼働から50年以上が経過した設備もあり、設備故障を未然に防ぎ設備の信頼性と安全性を高めたい
解決の仕組み点検ルートを各種センサーを搭載した四足歩行ロボットで自律走行し、取得した設備データから初期異常の早期検知や設備状態の定量評価ができるようにする
推進母体/体制コスモ石油 工務部、東北エンタープライズ
活用しているデータ光学/サーマル/超音波の画像/映像データ、音響データ、点群データ、ガス濃度データ、計器の読み取り値など
採用している製品/サービス/技術四足歩行ロボット「SPOT」(米Boston Dynamics製)、SPOT管理用ソフトウェア「Orbit」
稼働時期2026年5月24日から28日(堺製油所でのPoCの実施時期)