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ChatGPTが加速した企業や社会のAI活用【第67回】

大和 敏彦(ITi代表取締役)
2023年4月17日

米OpenAIが開発する「ChatGPT(Generative Pre-Trained Transformer)」が“次世代AI(Artificial Intelligence:人工知能)だ”として話題を集めている。2022年11月30日に公開され、2023年1月には1億人のアクティブユーザー数を記録した。ビジネスでの活用事例の発表も相次ぎ、各種製品/サービスへの組み込みが始まっている。一方で機密漏洩などのリスクから業務への使用を禁止または制限するところもある。今回はChatGPTの可能性と、その活用について考えてみたい。

 「ChatGPT」は、米OpenAIが開発・提供するチャット型AI(Artificial Intelligence:人工知能)のサービスだ。同社の「GPT(Generative Pre-trained Transformer)を基に作られており、さまざまな内容の質問に人間が答えているかのように回答する。OpenAIには、米MicrosoftがGPTなどの開発・普及に向けて100億ドルを投資している。

最新版は司法試験の模擬試験の合格レベルが上位10%に

 「GPT3.5」を使ったチャットボットとして作られたのがChatGPTである。質問が入力されると、その質問の意味を判断し、問題文と関連性の高いデータを基に文章を生成して、回答文にして出力する。「文章生成」という基本的な機能を提供するため、幅広い分野に活用できる。翻訳や要約、質問応答、文章の自動生成など、多くの自然言語処理タスクに対し優れた性能を発揮する(図1)。

図1:米OpenAIが開発するチャットボット「ChatGPT」の活用例

 2023年3月14日に発表された「GPT4」は、パラメータをGPT3.5の500倍である100兆個を持ち、画像や長い文章を扱えるようになった。それにより、学術知識の正確性や安全性を高めている。

 結果、司法試験の模擬試験の合格レベルとしては、GPT-3.5が受験者の下位10%程度のスコアだったものが、GPT4では上位10%程度のスコアで合格するまで高まった。画像への対応も進み、画像の入力や生成が可能になった。英語以外の言語性能も高まるなど、できることが増えている。

 ChatGPTの活用例としては、文章の加工・生成・要約、記事や小説作成の補助、翻訳などの外国語補助だけでなく、プログラミングの支援やリストの作成、研究を含む各種アイデアの収集などが挙がっている。自社の情報や用語、業界の深い専門知識などを事前に学習させれば、企業や業界に特化型の文書作成やチャットツールとして活用できる。